トリムジカ・プレイリスト #3
齋藤陽子(CALMS カームス/Puerto de la Musica プエルトムジカ)

例えば、夏の浦富海岸を車で走らせながらカーステから流れる◯◯◯◯とか、冬の大山スキー場で凍えた手をカイロで温めながらイヤホンで聴く◯◯◯◯とか……。ここにしかない時間と風景の中でこそ聴きたくなる音楽があります。毎回、鳥取屈指の音楽好きたちが登場し、鳥取のさまざまなシチュエーションにぴったりな音楽をセレクト、珠玉のプレイリストをお届けします。名付けてトリムジカ・プレイリスト。
今回は、米子市を拠点にライブや音楽イベントを多数開催されている齋藤陽子さんが、夏から秋に移り変わる今の季節におすすめの10曲を選んでくれました。


今月のプレイリスト:晩夏の夕暮れ、弓ヶ浜半島の空が赤く染まるとき

夕暮れ時に弓ヶ浜展望台で佇んでいると、自衛隊と民間の飛行機が飛び立っていくシーンによく出会います。後ろを振り向くと大山が。山陰がこんなにも素晴らしいロケーションだなんて。秋が近づくこの時期、夕焼けを見ながら少しセンチメンタルな優しい音が恋しくなります。

1. Falling… / 中島ノブユキ
アルゼンチンやブラジルを想起させるエキゾチックな音風景が匂い立ち、その官能的な響きに酔いしれる。作曲家として非凡な才能を持つ中島ノブユキ1stソロアルバム。一生聴き続けるであろう名盤。『ETE,Palma』収録

2. Moon Smile / Jean-Philippe Collard-Neven
弓ヶ浜の西の空。夕焼けに佇む時、後ろを振り向くと大山とお月様。月の光とこの優しいピアノの響きに何度背中を押されたことだろう。初めてこの作品を聴いた時「Moon Smile」から「Toinou」への繋がりがひたすらに優しく、溢れる涙を抑えることが出来なかった。『Between the lines』収録

3. J’ai Vu / Henri Salvador
邦題「人生という名の旅」。アンリ・サルバドーレが80歳を過ぎた頃、円熟枯れヴォーカルとは裏腹に、生きるべき夢がたくさんあると歌っている。アルバム『Chambre Avec Vue 』は一聴して地中海に連れて行ってくれるよう。

4. 22 Brooklyn Terrace / Peo Alfonsi
イタリアのギタリスト、ペオ・アルフォンシの繊細なギターに、伸びやかなフリューゲルホルンが心地よい。今日も良い1日だったね、と穏やかな表情になるのは私だけではないはず。『IL VELO DI ISIDE』収録

5. Ocaso / Jose Antonio Mendez
キューバ発生の音楽「フィーリン」最大の立役者、ホセ・アントニオ・メンデス。甘くクールな歌声。生まれかわったら、こんな男になりたい…。夕暮れというタイトル「Ocaso」は逆光の中に美しく溶け込む。『Canta Solo Para  Enamorados』収録

6. Laissez moi en paix / Ludovico Einaudi・Ballaké Sissoko
ルドヴィコ・エイナウディのピアノにバラケ・シソコの西アフリカ伝統楽器コラの調和がもたらす安らぎ。その神秘的な美しさは筆舌に尽くしがたく、慈しみに溢れる。こんな音楽があるから世界に希望がもてる。『Diario Mali』収録

7. Timothy grub / Vashti Bunyan
優しく切ない。ヴァシュティ・バニヤンの儚い声とアンニュイなメロディーが溶け合う、光の粒をちりばめたような作品。しとしと雨の日にもおススメ。『Just Another Diamond Day』収録

8.  Gorrión ・ Coral Para mi Pequeño y Lejano Pueblo / Dino Saluzzi
ペドロ・アルモドバルの映画『All About My Mother』で流れるこの2曲。抑揚のきいたバンドネオンの音色に気配が宿り、心に深く沁みいる。「Gorrión」はジャン=リュック ・ゴダールに捧げた曲。『Cité de la Musique』収録

 9. Vestida de nit / Silvia Pérez Cruz
真っ直ぐでソウルフル、凛とした存在感を放つシルビア・ペルス・クルスのヴォーカルに呼応する弦楽五重奏。音楽の根っこにあるあたたかさと生命力に心を揺さぶられる。『Vestida de nit』収録

10. O mar nos teus olhos / Duo Taufic
ブラジル人兄弟、ホベルト(兄)&エドゥアルド(弟)のギターとピアノは2人の呼吸感、音楽の対話が生み出す至極のデュオ。何度聴いても胸が詰まる想いにかられるロマンティックな旋律。タウフィック兄弟の来日を心の底から待ち望んでいる。『Todas as Cores』収録


齋藤陽子(CALMS カームス)
コンサートの企画・主催を主にして、穏やかで美しい音楽を山陰に広げる活動をしています。
「心の風景に寄り添う音楽
誰かの日常の小さな幸せにつながっていきますように」
CALMS http://www.calmscene.com/
個人instagram https://www.instagram.com/miyouuuu/

Puerto de la Música プエルトムジカ
齋藤陽子・末次一茂・pwmの3人で、コンサート・選曲会の企画、 フリーペーパー「Puerto de la Música」の発行をしています。
https://www.facebook.com/puertomusica085/

ライター

トット編集部

当ウェブマガジン編集部。鳥取の今をアートやカルチャーの視点から切り取ってお届けします。不定期に集まり、運営方針や記事内容の検討などをする編集会議を開いています。随時メンバー募集中!