トリムジカ・プレイリスト #8
赤山 渉(音楽好きの建築士)

例えば、夏の浦富海岸を車で走らせながらカーステから流れる◯◯◯◯とか、冬の大山スキー場で凍えた手をカイロで温めながらイヤホンで聴く◯◯◯◯とか……。ここにしかない時間と風景の中でこそ聴きたくなる音楽があります。毎回、鳥取屈指の音楽好きたちが登場し、鳥取のさまざまなシチュエーションにぴったりな音楽をセレクト、珠玉のプレイリストをお届けします。名付けてトリムジカ・プレイリスト。
今回は、夏の終わりに海辺で聴きたい曲を、アートにも音楽にも造詣が深い建築士の赤山 渉さんが選曲してくれました。


今月のプレイリスト:晩夏の白兎海岸で聴きたい曲

どこまでも続く青い空と海。サンバのリズムと生ビール。それももちろん最高ですが、時間によって刻々とその表情を変える日本海の夏の海もいいものです。
晩夏の海辺、陽が傾きかけてきた頃から夜にかけて、秋が訪れる気配を少し肌に感じながら聴く音楽。耳からクールダウンできそうな曲を選んでみました。

1. lost summer day dreaming / 別野加奈
“アンビエントフォーク、映画音楽、あるいは環境音楽か“というプロフィール文のとおり、映像作家でもある別野(わかれの)加奈さん独特の静かな世界。波の音とともに、去り行く夏を繊細に描きます。

2. からかひ / Sweet Williamと青葉市子
青葉市子さんにしては珍しいビートのあるこの曲は、トラックメイカーSweet William氏(日本人です)とのコラボ。青葉さんの声とギター(とビジュアル)との対比が面白い。

3. CALL ME IN YOUR SUMMER / SHE IS SUMMER
アーチスト名が夏。SHE IS SUMMERは、元ふぇのたすのボーカル、シンガーソングライターMICOのソロプロジェクト名。アレンジが癖になって何度もリピート。

4. Summer Situation / STUTS×SIKK-O×鈴木真海子
トラックメイカー/MPC PlayerのSTUTS、TOKYO HEALTH CLUBのSIKK-O、chelmicoの鈴木真海子の3名によるチル系ヒップホップ曲。ゆったりと流れる夏の午後。

5. SUNSET / Blu-Swing
ここらでジャズ寄りの曲を。「地平線沈む太陽」と歌われているので鳥取の海ではないでしょうが、ボーカルの田中裕梨さんは福井出身なので、日本海のサンセットをイメージしながら歌われている、のかも。

6. アンリベール / ペンギンラッシュ
ジャズ、ファンク、ソウルなどをバックグラウンドに持つ名古屋発のJ-POPバンド。曲ごとに異なるアプローチと、それを支えるリズム隊。フュージョンをベースにしたこの曲もなかなかテクニカル。まだインディーズですが、今後要注目。

7. Summer Gate / 佐藤千亜妃
今年、残念ながら活動休止となったバンド、きのこ帝国。そのボーカルだった佐藤千亜妃さんのこの曲は、夏の夜をイメージさせるクールでメロウなシティ・ポップ。

8. 遠雷 / 杉瀬陽子
遠雷は夏の季語。杉瀬さんの張りがありながらも包み込むような歌声は、ストレートに情景が伝わり、泣ける歌詞でもないのに何故かじわりと目が潤みます。

 9. Summer We Know(feat.mmm) / VIDEOTAPEMUSIC
サンプリング音源で映像や曲を制作するVIDEOTAPEMUSIC(個人のソロプロジェクト名)の新譜は、内外から9名のゲストシンガーを迎えた歌ものアルバム。この夏、個人的にヘビロテしたそのアルバムのラスト曲。「もうあと少し 夏が終わる」

10. Lamp( feat.Nujabes) / haruka nakamura
クロージングはインストで。美しいピアノを奏でるharuka nakamuraさんによる、今は亡きトラックメイカーNujabes氏とのコラボ曲。行く夏を惜しみながら、すっかり暗くなった浜辺をあとにします。

※各タイトルをクリックするとYouTubeで視聴できます。

写真:恩田奈津江


赤山 渉(音楽好きの建築士)
鳥取市生まれ。大学で千葉県へ。東京の建設会社設計部で勤めた後、20年前に両親開設の設計事務所にUターン。趣味はライブ鑑賞で年30回程度。今年になって観た(予約済みの予定を含む)のは、青葉市子、杉瀬陽子、畠山美由紀、杏沙子、ウナジオサオンデス、826aska、chelmico、伊藤蘭、金子飛鳥&林正樹、井上陽水、mama!milk、1966カルテット、ビューティフルハミングバード、アン・サリー、寺尾紗穂、折坂悠太、原田知世。CDは所有派で、1500枚以上。

ライター

トット編集部

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