「鳥取夏至祭2017」
即興の音楽とダンスに出会える3日間
6月23日(金)-25日(日)

県内で日々生み出される「もの」や「こと」について、旬な情報をお届けする「ニュース」。
今回は、県内外から30名以上の音楽家やダンサーが集い、鳥取市のまちなかで即興のパフォーマンスで共演していく「鳥取夏至祭2017」について。
今年初めて企画され、鳥取ではこれまでにない新しい試みとして注目されています。地域の人々に多種多様な表現者をより身近に感じてもらうとともに、アーティスト間の交流やネットワーク形成を目指します。


今回の企画の中心となるのは、コンテンポラリーダンサーの木野彩子さん。2016年に鳥取大学芸術文化センターの教員として神奈川から鳥取にやってきました。来鳥2年目にして取り組む「鳥取夏至祭」(以下、夏至祭 )(※1)には、大きく3つの目的があるといいます。

まずはダンスや音楽のパフォーマンスを鳥取の人に身近に感じてもらうこと。一般的にダンスや音楽などを観覧する際、あらかじめ用意された舞台やホールへ積極的に出向くものというイメージが強くあります。しかし夏至祭の舞台は鳥取市のまちなか。まちのなかで偶発的に出会い起こることにも寛容性を持たせる「即興」(※2)というスタイルを取ることで、新しく興味を持つ人を増やしていきたいとしています。

2016年に実施したChicago Moving Company と木野彩子企画「MOBIUS」上演の様子。会場:旧横田医院(HOSPITALE Project)

まちなかで展開する理由としては、鳥取のまちを創造性に寛容的な場所にしていくことも目的に含まれるからといいます。増加する空き店舗や空きスペースの有効活用に頭を悩ます地域は全国各地に見られますが、鳥取においては、夏至祭を通じてそうした場所を表現活動へ活用していく道を開けるのではないかと考えるからです。

上記2つの目的は、ともすると出演者である音楽やパフォーマーにとってハードルが高いのではないかと感じますが、パフォーマーにとっても利点があります。それは、夏至祭が海外も含めて各地で活躍するアーティストやパフォーマー同士の交流とネットワークの形成も目指しているから。木野さん曰く、都心部と異なり、地方都市ではコンテンポラリーダンスはまだまだマイナーで知られていないことから、個人的な活動をしている人が多くいるのだとか。地方に拠点を持ちそれぞれの地域で活躍するパフォーマーに声をかけ、鳥取に集ってもらい、互いを良く知り交流を深める場として夏至祭が機能することも大きな目的です。

Chicago Moving Company のダンサー5人と音楽家(やぶくみこ、森重靖宗、横山祐太)が共演。

「プロもアマチュアも垣根を越えて、踊りたい、奏でたいという気持ちの発露の場として鳥取を知ってもらいたい」と木野さん。最終日の25日(日)午後には、即興のワークショップも開かれます。即興は特別な人だけが踊るのではなく、その場に居合わせた人が一緒にその場をつくりあげることで、新たな出会いに繋がるもの。鳥取の人に、まちに、この場所の暮らしに、新しい風を吹き込むこれまでにない試みとなりそうです。

撮影:田中良子

※2:フランス・パリで毎年夏至の日6月21日に開催されるFête de la musiqueという音楽祭からのネーミング。この日は音楽家を中心にさまざまなアーティストがプロもアマチュアも垣根を越えて一晩中パフォーマンスに興じる。
※1:即興とは楽譜や振付といった決まり事に頼らず、その場で感じることをもとに作り出していく手法。音楽、ダンス、演劇、美術それぞれのジャンルで発展している。


鳥取夏至祭2017
公式ホームページ
https://tottori-geshisai.jimdo.com/
Facebookイベントページ
https://www.facebook.com/events/131264017423129/?fref=ts

プログラム:
6月23日(金)19:00開演
前夜祭(くじ引きによる即興ダンスと音楽のセッション)
会場:旧ヤマネデンキ(鳥取市今町2丁目)

6月24日(土)16:00開演
ツアーパフォーマンス(周遊型公演)
集合場所:旧ヤマネデンキ

6月25日(日)10:00頃スタート
即興パフォーマンス
会場:いなばのお袋市(駅前サンロード内)

6月25日(日)13:30-14:30
ワークショップ
会場:わらべ館イベントホール

ライター

トット編集部

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