AIR475 2022 ふたつのヨナゴ・ファンタジア
岡田裕子+三田村光土里+ドキュメント展示
[第1期 いま、ここにいます]8/5-28

2013年よりアーティスト・イン・レジデンスの活動を展開してきた「AIR475(エアヨナゴ)」。昨年より米子に滞在しながらリサーチを重ねてきた美術家の岡田裕子さんと三田村光土里さんが、8月から10月にかけて米子市美術館および野波屋(旧末次太陽堂・米子市道笑町)を会場に作品を発表します。第1期は、岡田裕子さんの作品を中心に米子市美術館にてスタートします。


地域における資源(歴史、文化、風土)をアーティストの視点から発掘し、活用するアート・プロジェクト「AIR475(エア・ヨナゴ)」。アートへの理解を深めるだけでなく、地域への人々の愛着やシビックプラウドを醸成しながら、人々の交流の場を生み、関係人口を創出することで地域の活性化に寄与することを目的に、2013年に活動を開始しました。2020年までに5 名のアーティストを国内外から招聘し、滞在制作を通じて生み出されたサイトスペシフィックな作品による展覧会を開催してきました。

岡田裕子《トランスフォーム:米子市法勝寺町ラジオ体操会の少女、昭和18年ごろ》2022年 ビデオインスタレーションのイメージ 過去の写真提供:米子市立山陰歴史館

2021年には現代美術作家として活躍する岡田裕子さんと三田村光土里さんを招き、約3週間にわたって米子市の中心市街地を拠点にリサーチと滞在制作を実施。今年は8月から10月に掛けて、それぞれの作家の個展を街中の2会場で開催し、滞在制作の成果発表を行います。
この度、その第1期として、8月5日(金)-28日(日)には米子市美術館にて「岡田裕子×AIR475 いま、ここにいます」が開催されます。米子に在る、在った、けれども今は忘れられてしまったかのように、息を潜めて存在しているモノたち。それらを集め、作品化することによってまた命を宿し、精霊のように妖怪のように密やかな吐息が聞こえるような展覧会としたいとのこと。

左:島根大学教育学部 藤田研究室 制作の張り子 右:米子工業高等専門学校 ロボコン同好会 可動パーツを3Dプリンターで制作する様子

米子高専+島根大学とのコラボレーション作品として制作された動く彫刻《イマココニイマス》をはじめ、かつて米子にいた人と現在の人が街中の映像によってシンクロしてゆくインスタレーション作品《トランスフォーム:米子編》や、米子市内から寄せられた不要になった置物が観光地のポストカードの風景に出会う《置物、バカンスへゆく》など、本展の為につくられた新作が会場を彩る予定です。会期中の金曜日-日曜日には、公開制作《Rub me tender Love my past:YONAGO 2022》により、作品が成長するかのように増えてゆく楽しみもあり。

[関連作品]岡田裕子《Rub me tender Love my past》2021年 Stilllive 2021 でのパフォーマンス風景/ゲーテ・インスティトゥート東京 撮影: 北田理純

別室では、三田村光土里さんが昨年の米子滞在中に制作された作品も含むドローイングシリーズ《365日の百科事典》(2021年)や、映像作品《INVENTIONS》(2002-2020年)も紹介します。併せて今回の主催であるAIR475の活動を振り返るドキュメント展示も行います。
また、8月6日(土)には岡田裕子さんと三田村光土里さんによるギャラリー・トーク、また翌日の8月7日(日)には三田村光土里さんによるアート・プロジェクト《Art&Breakfast》も開かれます。
米子の昔と今が改めて出会い直される場として、ファンタスティックな魅力ある展示となりそうです。

三田村光土里《365日の百科事典》2021年9月18日 月、築地本願寺、津田梅子

なお、作品制作や展覧会運営のサポートスタッフ、「第2期 三田村光土里 この場所に時計を取り戻す ー古い時計の文字盤に、まちの記憶が蘇るー」に参加するパフォーマー(演奏者)も、継続して募集中とのこと。アーティストとの交流に興味がある方、ものづくりや手作業が好きな方、いろいろなことにチャレンジしてみたい方などぜひお問合せください。


AIR475 2022 レジデンス成果発表展 ふたつのヨナゴ・ファンタジア
岡田裕子 + 三田村光土里 +ドキュメント展示

[第1期 岡田裕子 × AIR475 いま、ここにいます]
会  期|2022年8月5日(金)~8月28日(日) ※水曜日休館
開場時間|10:00~18:00
会  場|米子市美術館(米子市中町12番地) 第3・4展示室 

[第2期 三田村光土里 ×AIR475 この場所に時計を取り戻す ー古い時計の文字盤に、まちの記憶が蘇るー]

会  期|2022年9月23日(金・祝)~10月10日(月・祝)
開場時間|12:00~18:30
会  場|野波屋(米子市道笑町1-28-1)

料  金|無料
主  催|AIR475(エア・ヨナゴ)
共  催|鳥取県、米子市、米子市教育委員会、一般財団法人米子市文化財団 米子市美術館
助  成|令和4年度 鳥取県 市町村連携型地域活性化拠点事業補助金、令和4年度 文化庁 文化芸術創造拠点形成事業 他、各種申請中
協  力|めがねのスエツグplus、森谷アパート、独立行政法人 国立高等専門学校機構 米子工業高等専門学校 井上研究室・ロボコン同好会・放送部・高増研究室、国立大学法人島根大学教育学部藤田研究室、修復工房HATA Studio、米子市立山陰歴史館、鳥取県立博物館美術振興課 主任学芸員 赤井あずみ
問い合わせ|AIR475事務局 info@air475.com 090-2409-7984(広報担当:水田美世)
      〒683-0851鳥取県米子市夜見町1830-2(ぱてぃなでざいん建築設計事務所内)

第1期 イベント| 
 ① 岡田裕子、三田村光土里|アーティストによるギャラリー・トーク
 米子で出会った人や物にインスピレーションを受けて生み出された作品について、展覧会場を回りアーティストそれぞれの言葉でご紹介いただきます。
  日  時|2022年8月6日(土)14:00~15:30
  会  場|米子市美術館 第3・4展示室

 ② 三田村光土里|アート&ブレックファースト@ミュージアム
 朝食を通して滞在先の環境やそこに住まう人々と出会うことを目的としたプロジェクトです。コーヒーや軽食を用意してお待ちしています。
  日  時|2022年8月7日(日)9:00~11:00
  会  場|米子市美術館前 ※雨天時はHARI(米子市法勝寺町65)に変更
  協  力|フルーツカフェ サエキ
  参 加 費|実費をいただきます

 ③ 岡田裕子|公開制作《Rub me tender Love my past:YONAGO 2022》
 米子の方々がかつて使用していた家具や日用品を布にフロッタージュしてゆく公開制作作品です。会期中も成長するかのように作品が増えてゆきます。
日  時|会期中の金曜日~日曜日 ※ただし、8月8日~16日はアーティストは不在
会  場|米子市美術館 第4展示室


岡田裕子 / Hiroko Okada
美術家。映像、写真、絵画、インスタレーションなど、様々な表現を用いて、自らの実体験一恋愛、結婚、出産、子育てなど一を通したリアリティのある視点で、現代社会へのメッセージ性の高い作品を制作。近年の活動は、《第11 回恵比寿映像祭》 東京都写真美術館(2019)、《個展「ダブル・フューチャー」》ミヅマアートギャラリー(2019)、《アルスエレクトロニカセンター常設展示》オーストリア(2019)、《個展「誰も来ない展覧会」》 元映画館(2020)。
個人制作以外でも幅広く活動をしている。オルタナティブ人形劇団「劇団★死期」主宰、家族ユニット「会田家」。2020 年以降コロナ禍でも活動は途切れることなく“感染の社会を考える” アート& ファッションの試み「W HIROKO PROJECT」を開始、ソーシャルディスタンスの距離に合わせて形状の変わる服の作品「Di_STANCE」などを発表。
2022 年北九州「もしも、ベラミで」展にて架空のダンス作品「Shall we SOCIAL DISDANCE ?」発表。2028年ヴォイヴォディナ現代美術館(セルビア)にて《SMALL REBOOTS by ARTISTS》展に参加。
作品集に「DOUBLE FUTURE エンゲージド・ボディ / 俺の産んだ子」がある。
https://okadahiroko.info/  

三田村光土里 / Midori Mitamura
美術家。フィールドワークから得られる私小説的な追憶や感傷を、写真や映像、日用品など様々なメディアと組み合わせ、「人が足を踏み入れられるドラマ」をテーマに空間作品を国内外で発表。2006 年より世界各 地 で 継 続 中 の 滞 在 型 ア ー ト プ ロ ジ ェ ク ト《Art & Breakfast》では、世界各地の鑑賞者と朝食を共にし、旅の中で見つけたモノや気づきをインスタレーションに投影していく。
近年の主な展覧会《瀬戸内国際芸術祭》(2022)、《恵比寿映像祭・スペクタクル後》 東京都写真美術館(2022)、《365 日の百科事典》 SYP ギャラリー(2021)、《アッセンブリッジ・ナゴヤ》(2020)、《ジャパン・アンリミテッド》 ミュージアム・クウォーター / ウィーン(2019)、《ノーコン_ いつもいつの間にか絡まっている》 アートセンター・オンゴーイング/ 東京(2018)、《Art & Breakfast ラ ス パ ル マ ス・デ・グ ラ ン・カナリア》 CAAM 大西洋現代美術館 / スペイン(2017)、《あいちトリエンナーレ》(2016)、《Art & Breakfast ヴィスバー デン》クンストフェライン・ベルビュー・ザール / ドイツ(2016)、《ここに棲むー地域社会へのまなざし》 アーツ前橋 / 群馬(2015)
www.midorimitamura.com

AIR475 / エア・ヨナゴ
2013年より鳥取県米子市内で開催してきたアーティスト・イン・レジデンス事業(滞在制作アートプロジェクト)〈AIR475(エアヨナゴ)〉に関する活動(公益活動)を継続して実施し、建築やアートを通したまちづくりに寄与することを目的として2016年に設立。まちにアートを介在させることで、まちの魅力や価値を高め、そこに暮らす人々が誇りを持てる場所づくりを目指し展開する。毎年、国内外で活躍するアーティストやキュレーターを招き、米子市の街中や郊外を舞台にダイナミックなプロジェクトを実施してきた。現在は、2025年春の鳥取県立美術館の開館時期に合わせて、米子市、米子市美術館と連携した展覧会「加茂川芸術祭(仮称)」を実現するためのコンセンサスの醸成も目指している。

ライター

トット編集部

当ウェブマガジン編集部。鳥取の今をアートやカルチャーの視点から切り取ってお届けします。不定期に集まり、運営方針や記事内容の検討などをする編集会議を開いています。随時メンバー募集中!