蛇谷りえの
鳥取☆おしゃれcollection – 2017 SS
#3 大工さんのジャケット

湯梨浜のゲストハウス・たみや鳥取駅前のY Pub&Hostelを運営するうかぶLLCの蛇谷りえ(大阪出身/トレードマークはピンクのめがね)が、県内で出会ったおしゃれガール&おしゃれボーイを突撃スナップ&インタビュー。ここで言う“おしゃれ”とは、流行とか最先端って意味じゃなく、その人の内面とか暮らしから自然と溢れちゃうもの。ここにしかいない人の、ここにしかないオシャレ最新型を探します!


初夏といっても、まだ長袖が手放せないトットリ。新しいお店が近くにできると聞いて立ち寄ってみると、現場作業中の大工さんを発見。作業着って、つなぎとか、ホームセンターに売っているような作業服のイメージがあるけど、この方の仕事着は普段着みたいな装いなのはなぜかしら? その謎に迫りました。

「SEARS」のスポーツジャケット。ペンキがついて、いい味を出している。

名前:高藤 宏夫さん
職業:大工
場所:鳥取市栄町

このジャケットは、1900年頃のアメリカ3大ストアブランド「SEARS」のスポーツジャケット。知る人ぞ知る格安古着屋倉庫「西海岸」で発掘されました。高藤さんは、イギリスの老舗レインウェアブランド「BARACUTA(バラクーダ)」のジャケットの型が一番気にいっていて、ドリズラージャケット(襟が立っているこのタイプ)を買って揃えています。中でもこのジャケットは他の服と比べて珍しい型だから選んだそう。帽子は岡山にいったときに買ったDECHOの帽子。頭のサイズが大きくて合うものがなかなかみつからないので、出先で見つけたら買うようにしているそうです。照れ臭そうに話してくれました。

現場使用感のあるユニクロのチノパン、1年に1度3本まとめて買うほどのヘビーアイテム。靴はアディダスのスニーカー。

「なんで作業着を着ないんですか?」と質問すると、「機能がいろいろある分、作業着は高いんです。」となるほど納得。逆に、わたしはなんで「作業着」を着ないといけないと思っていたんだろ? たしかにホームセンターや作業着屋で選ぶよりも、古着屋やユニクロで買えば品質も選べるし安い。「作業着っていうか、洋服は、」と言い換えていたのが印象的で、高藤さんの話を聞いていると、仕事も普段も同じ土俵にあって、場面に合わせて着る服は変わっても、服選びには一環性がありますね。作業するから「作業着」を買うんじゃなくて、情報の中から、代用を考えて、自分のサイズ、値段、好みに合わせて服を選ばれています。自分のお気に入りの服の型があることで、ある程度情報が絞られつつも、「SEARS」や「BARACUTA」など、服の歴史や品質などの知識によって、選択肢を広げて服選びをしているところがおしゃれです!

ライター

蛇谷りえ

1984年大阪生まれ。2012年に「うかぶLLC」を設立し、共同代表の一人。うかぶLLCでは、鳥取県は湯梨浜町にある「たみ」と、鳥取市にある「Y Pub&Hostel」を経営している。また、鳥取大学地域学部教員の合同ゼミ「鳥取大学にんげん研究会」やアートプロジェクト「HOSPITALE」のマネジメントなど、ある世界の中で、サテライト的な関わりであれこれつなげるのが得意。”外”担当。 photo:Patrick Tsai