波田野州平
映像みんぞく採集
#1 八束水のパステル断面

映像作家の波田野州平を中心に結成された記録集団「現時点プロジェクト」が鳥取県の各地を巡って、観光案内では紹介されない(されるはずのない)場所や物事に熱視線を注ぎ、映像でレポートを提出します。日々の視界を少しだけ広くする報告書。お忙しい1日の隙間にご覧ください。


青谷羽合道路の起点、鳥取市気高町八束水の交差点から高架をくぐり一般道路へ進むと姫路地区と呼ばれる集落がある。ここは1989年に土地改良が始まり山の一部が削り取られて農道が敷かれ、沼の水が抜かれて田畑が作られた。1992年に工事が完了した後も削り取られた断面は保護されず、地層がむき出しになっている。断面はとても頑丈かつ滑らかで様々なパステルのような石で彩られている。集落の住民によれば、冬になると断面に霜が降り、その度に表面を洗っているためだと言う。また水を抜いた沼の底から、樹齢数百年になる巨大な松の埋れ木が現れたという逸話も残っている。

地層好きの皆様にはぜひ行っていただきたい珍しい断面スポットです。ピクニックがてらサンドイッチの萌え断と共にお楽しみください。
それではまた次の隙間でお会いしましょう。

ライター

波田野州平

鳥取生まれ東京在住。辺境と中央を往復して制作(映画を作ったり、ライブを撮ったり、ミュージックビデオを作ったり)しています。今は記録メディアとしての映像の役割にとても興味を持っています。