「文章とインタビューの手ほどき教室」参加レポート

 2017年10月から月1回のペースでtotto(トット)主催として実施した標記講座。講師には、ライター兼インタビュアーとして活躍する尹雄大(ユン・ウンデ)さんをお招きしました。「自らが何に関心を持ち、どんな観点にいるのか」を感じることの重要性を説き、実践も交えた濃密な講座の内容について、参加者の視点からご報告します。


totto(トット)では、情報発信力やライティングスキルを高めたい方を対象にした講座「文章とインタビューの手ほどき教室」を2017年10月から3か月連続で開催しました。著者もライティングのスキルアップを目指し受講してきました。

講師は、政財界をはじめアスリートや文化人など1000人以上を取材された経験を持つ尹雄大(ユン・ウンデ)さん。鳥取県にはこれまでにも取材やイベントのトークゲストなどで度々来鳥されています。講座には西は日野町から東は智頭町まで、県内各所から総勢16名が集結。WEBマガジン編集者やブロガーといったプロフェッショナルから著者のようなアマチュアまで様々でしたが、誰もが自由に情報発信できるこの時代だからこその関心の高さが伺えました。文章編とインタビュー編がそれぞれ3回ずつ全6回の講座は、午前中から夕方までガッツリ。事前課題もあり、途中にはごはん会(交流会)もありと、学生時代の合宿のような雰囲気でした。

文章講座では、「自分は文章をうまく書けない」あるいは「うまく書きたい」という思考にとらわれず、「自分が何をどのように感じているか」という個性から出発することを教わりました。2人1組となり参加者同士が同じ題材で書いた相手の文章を読みあうワークでは、同じ題材でもライターによって切り口や文章のテイストが全く異なることを痛感するとともに、中でも魅力的に感じる文章はやはりライターの個性が垣間見える文章なのだと納得しました。

そしてインタビュー講座では、相手の話を「(正しく)理解」や「共感」しようとするのではなく、相手の言わんとすることを「(完全に)聞く」という受容の姿勢で臨むことを教わりました。とりわけ、相手の「言っていること」は必ずしも「言わんとすること」ではないという教えが印象的で、参加者同士がインタビューする側・される側を演じ合うワークでは、相手の「言わんとすること」を引き出すことの難しさなどを思い知りました。

講座の最後で、「即効性はないかもしれないけれど、尹さんの言っていたことはジワジワくる」と仰った参加者の感想が言い得て妙で、本講座は「こうすれば文章力がアップする」といったテクニック論の類ではなく、参加者がこれからそれぞれ実践を重ねて体得していくための『型』を学んだのだと思います。

インタビューを受ける中島諒人さん(左)とインタビュアーの尹雄大さん(右)

年明けて2018年1月、尹さんは県内で活躍される5名の方々へのインタビューも実施されました(インタビュー記事はtottoで近日公開予定)。本講座の参加者はそのインタビューに同行できるオプションがあるということで、これは逃すまい!と著者も参加してきました。著者が同行したのは、鳥取市鹿野町に劇場を構える「鳥の劇場」主宰の中島諒人(なかしままこと)さんへのインタビュー。インタビューの間、当然ながら8~9割方を中島さんがお話しされていましたが、尹さんが時折差し挟む質問に、「それは良い質問だ」「その視点は面白い」と中島さんが唸り、話が深まり展開していく様は、まさに中島さんの「言わんとすること」に迫るもので、これぞインタビューの醍醐味!とプロフェッショナルの仕事に感銘を受けました。

そのような濃密なインタビューを、尹さんがさらにどのように文章に仕上げられるのか。他の4名の方々の記事も含めて公開が待ち遠しいです。皆さま、どうぞご期待ください。

ライター

梶谷彰男

広島県生まれ、鳥取県育ち。東京大学でまちづくりを学んだ後、鳥取県庁に入庁。認定NPO法人日本NPOセンターに派遣されNPO魂を学び、県内の市民活動の促進や協働の推進に取り組む。青年海外協力隊の制度を活用してジャマイカに派遣され、ノープロブレムな暮らしを満喫して帰国。「おもしろがろう、鳥取」のビジョンを掲げ、人と組織の可能性を開くNPO法人bankup(旧:学生人材バンク)の理事も務める。