レポート:ことばの再発明×18展
−鳥取で「つくる」18人による成果発表展−

鳥取で活動するアーティスト、クリエイター、デザイナー、パフォーマーなど広い意味での表現者=「つくる」人を対象とした連続講座『ことばの再発明』。この講座の受講生による成果発表展が2020年9月25日(金)-28日(月)に、鳥取市栄町のギャラリーそらにて行われました。筆者も受講生の1人として参加した成果発表展のようすをレポートします。


今年7月から9月にかけてオンライン上で開催された連続講座『ことばの再発明』。肩書や活動分野も様々な受講生18人が、それぞれの成果物、作品、活動紹介などを展示。
ことばの再発明×18展−鳥取で「つくる」18人による成果発表展−』と題されたこの展覧会で本講座のアウトプットを行いました。

Seizanさんの展示

Seizanさんは映像作品「ワタシの詩」を展示。他者との関係から作り出される自分の存在、そして人生の意味について、鋭くも普遍的な問いを投げた作品からは、日頃から様々なシーンで人々と向き合い、自身も鳥取に移住して間もないSeizanさんの視点が随所に見えました。

音泉寧々さんの展示

鳥取大学地域学部4年生の音泉寧々さんは、3Dソフトを使って制作してきた“イケメン”の成果をスライドショー形式にして発表。制作過程での失敗作を含めて発表するだけでなく、音楽に合わせてイケメンを躍らせてみるといった独自の発展形を披露し、会場でスライドショーを目にした人同士が「イケメン」を話題に盛り上がっていました。

もりさとさんの展示

映像クリエイター・ライターとして活動するもりさとさんは、自身の書いた遺書とラブレターを展示。残された人たちへものを伝えるときの「ことば」を収める遺書と、これから関係を密接にしていくかもしれない人に送る「ことば」を収めるラブレター。この2通の相対する手紙が揃うからこそ、他者に伝えることばの表情の違いについて、手紙を読む人に提示する展示となっていました。

中村友紀さんの展示・パフォーマンス

演劇に取り組む鳥取大学地域学部4年生の中村友紀さんは、エッセイを展示し、それを朗読するパフォーマンスを行いました。演劇を「ことばとからだ」の芸術と定義して綴った文面を、展示だけでなく声に出して読む試みを通じ、観客やシチュエーションに応じて微妙に変化する、中村さんの取り組む演劇そのものの醍醐味をギャラリーで追体験できる空間となっていました。

ギャラリートークの様子。新型コロナウイルス感染防止の観点から受講生および関係者のみの参加する形式で開催されました

9月26日に講座受講生・関係者のみで行われたギャラリートークでは、東京都写真美術館学芸員の多田かおりさんと、新宿眼科画廊ディレクターの田中ちえこさんを講師に迎え、オンライン上のビデオ通話を通じて受講生のプレゼンテーションに対して講評を行いました。

講座中での対話の時間や、成果発表展の会場で出会う人々との掛け合いにおいて、自分自身の「ことば」や、他者に伝える「ことば」について、それぞれに向き合ってきた受講生たち。
普段は作品制作を行う人が、活動上「ことば」を扱う人から刺激を受け、また、日々「ことば」を扱う活動をする人にとって、日常的に使う「ことば」とは違った形での表現に触れる機会となりました。
今回の展示会場となったギャラリーそらもまた、鳥取で様々な「つくる」ひとたちの発表の機会を担ってきたギャラリー。18人の出展者(受講生)が集まった今回の展覧会、出展者が集まった経緯に、コロナ禍やオンラインでの繋がりといった、今回特有の要因はあれど、お互いの活動分野やエリアの垣根を越えて、自分の制作や活動への刺激を受けようという空気が、会期中のギャラリーそらを包んでいました。

写真:平木絢子、藤田和俊、蔵多優美


ことばの再発明×18展−鳥取で「つくる」18人による成果発表展−

日程|2020年9月25日(金)-28日(月)
時間|10:00-18:00〈26(土)13:00まで/28(月)16:00まで〉
会場|Gallery そら(鳥取市栄町658-3 駅前サンロード)

主催|鳥取大学地域学部附属芸術文化センター 佐々木研究室
企画運営|佐々木友輔、蔵多優美、野口明生、藤田和俊
令和2年度 文化庁 大学における文化芸術推進事業

ライター

井澤大介

伯耆町出身。絵に描いたようなインドア人間だが、大学のサークル活動で鳥取市街地のアートギャラリーを知ったのをキッカケに、「学外で人と話す場」としてギャラリーに足を運ぶようになる。在学中、「まちなか美術室」等を企画。最近は「深夜の美術展in鳥取」を鳥取の仲間と開催しながら、人が新たな価値観に触れられる場を作る側としても挑戦している。