スペース・プラン記録展 −鳥取の前衛芸術家集団1968-1977−
2018年12月7日(金)-2018年12月19日(水)

1968年から約10年間、谷口俊(1929-)、フナイタケヒコ(1942-)、山田健朗(1941-)らによって鳥取で活動を展開した前衛芸術家集団「スペース・プラン」。その実験的な試みの全貌を探る記録展が、この冬「ギャラリー鳥たちの家」で開かれます。


「スペース・プラン」の活動は、1968年11月に発布された檄文「脱出計画No.1 新しい芸術グループ結成のために」から始まっています。その作品は、1960年代後半にアメリカを中心に広がった「ミニマリズム」という表現様式を採用しており、単純な色と形に還元された作品が特徴。物体そのものが現前する状況に重きを置き、作品が設置された「場」との積極的な関わりを持とうとする志向性がありました。

第2回展 展示風景 鳥取砂丘 1969年
鳥取現代美術野外フェスティバル 風仁閣前庭 1970年

メンバーらは、市民会館や画廊で発表する一方、湖山池青島や仁風閣前庭など、鳥取市各地で野外展を積極的に試み、特に1969年の第2回展では、鳥取砂丘を舞台に作品が配置された壮大なスケールの展示を実現しました。当時の地元メディア等では注目を集めていたものの、その活動は鳥取に限定されていたこともあり、全国的に広く紹介されることはなかったとのこと。

NHK鳥取「カメラリボート」のための作品 岩戸海岸 1976年

本展は、「スペース・プラン」の記録写真や印刷物、記録映像などを中心に展示し、彼らの実験的な試みの全貌を探るはじめての機会となります。「ミニマリズム」という言わば現代美術のひとつの出発点として生まれた形式が、1960年代後半に鳥取という日本のローカルな地域でどのように展開されたのか。1960〜70年代の鳥取の文化状況を踏まえるとともに、若者の叛乱の季節、具体美術協会による野外展、宇部や須磨の野外彫刻展、福嶋敬恭と京都北白川美術村、ミニマリズムからポストミニマリズム等といった歴史的文脈のなかで、その活動を検証していくとのことです。

オープニングには美術評論家であり多摩美術大学美術学部教授の椹木野衣さんが登壇するなど、会期中には、戦後日本の前衛美術をテーマとする連続トークイベントが開催されます。具体美術協会からもの派、そしてポストもの派…と語られてきた日本の戦後美術史。70年代のスペース・プラン、90年代のネオポップ、2010年代のカオス*ラウンジについて、その時代とともに検証することで、歴史の複数の系譜を見出す手がかりを探ります。この機会をお見逃しなく!

トップ写真:第13回展 集合写真 鳥取市民会館 1977年


スペース・プラン記録展 − 鳥取の前衛芸術家集団1968-1977 −
SPACE PLAN: Avant-Garde Art Collective in Tottori 1968-1977

会期|2018年12月7日(金)-2018年12月19日(水)
会場|ギャラリー鳥たちのいえ(鳥取市本町1丁目201 ミュトスビル)
時間|11:00-19:00(最終日17:00まで)
観覧料|無料
主催|鳥取大学地域学部附属芸術文化センター
共催|スペース・プラン
企画|筒井宏樹
デザイン|木村稔将
翻訳|河野晴子
インストーラー|三浦阿籃、海野林太郎
助成|平成30年度 文化庁 大学における文化芸術推進事業、公益財団法人野村財団、鳥取大学学長経費事業

イベントスケジュール|
2018年12月7日(金)
17:30- オープニング
18:30- 関連トーク 椹木野衣「ネオポップとその時代」 聞き手=筒井宏樹(本展企画者)
1980年代末の冷戦崩壊から1995年の阪神淡路大災震およびオウム事件までの日本の現代美術はどのような状況だったのでしょうか。現代美術の第一線で活躍する村上隆、ヤノベケンジ、会田誠をはじめ、演劇界の飴屋法水、ノイズ界の大友良英、宇川直宏など多彩な才能が集う舞台となったレントゲン藝術研究所、中村政人らによって銀座や新宿の街頭で行われた「ザ・ギンブラート」や「新宿少年アート」、岡崎京子や長島有里枝の初個展が開催されたマンションの一室「P-HOUSE」など、オルタナティブな場で現在につながる現代美術が胎動していた時代。この時代の目撃者であるとともに、『シミュレーショニズム』の批評家として、『美術手帖』や『REMIX』等の編集者として、「アノーマリー」展等を企画するキュレーターとして、このネオポップの時代を牽引する当事者であった椹木野衣さんをお迎えし、当時のお話をお聞きします。

2018年12月9日(日)
14:00- トークセッション「メンバーが語るスペース・プランの軌跡」
谷口俊、フナイタケヒコ、山田健朗
スペース・プランの中心メンバー3名による座談会を開催します。戦後も近代美術の延長であった鳥取の地で、はじめて現代美術を実践したスペース・プラン。彼らは当時、鳥取から世界をどのように眼差していたのか。その結成から第13回までの9年間の活動について時代の証言者として語り合います。

2018年12月15日(土)
17:00- 関連トーク 黒瀬陽平「カオス*ラウンジとその時代」
2010年、挑発的なカオス*ラウンジ宣言によってアートシーンに突如浮上したアート・コレクティブ「カオス*ラウンジ」。黒瀬陽平、藤城嘘、梅沢和木を中心に、インターネットという新しい情報環境から生まれる有象無象の想像力を束ねた彼らは、第1回高橋コレクション展に続き、ギークを集めてネットの下部構造まで作品化した破滅*ラウンジなど、東浩紀や村上隆まで巻き込んで畳み掛けるように時代のアートを発信しました。3.11以後、炎上を経て、新芸術校、五反田アトリエ、いわき市における新芸術祭など、日本の美術制度の外に活動領域を自ら切り開き、現在に至るまで新しいアートのヴィジョンを提示し続けています。美術批評家でカオス*ラウンジ代表の黒瀬陽平さんをお招きし、結成前夜から2018年までの約10年間の彼らの軌跡とその思想を、同時代の動向も踏まえてお話いただきます。

2018年12月16日(日)
17:00- 筒井宏樹「スペース・プランとその時代」
鳥取の前衛芸術家集団「スペース・プラン」は今から50年前の1968年に結成されました。この年、『美術手帖』4月号では「地方の前衛」特集が組まれ、全国各地で活況を呈した60年代の反芸術運動が総覧される一方、神戸の須磨離宮公園現代彫刻展では70年代の大きな動向もの派の端緒となる関根伸夫の《位相−大地》が発表されました。このような時代背景のなか、スペース・プランはどのように登場したのでしょうか。具体美術協会、野外彫刻展、京都北白川美術村、ミニマリズムといった文脈を踏まえつつ、彼らの活動の歴史的意義について考えていきます。

ゲストプロフィール|
椹木野衣(さわらぎ・のい)
美術批評家。多摩美術大学教授。1991年に初評論集『シミュレーショニズム』を刊行後、『日本・現代・美術』(1998)、『「爆心地」の芸術』(2002)、『戦争と万博』(2005)、『反アート入門』(2010)、『後美術論』(2015)、『震美術論』(2017)、最新刊『感性は感動しない』(2018)ほか著書多数。展覧会に「アノーマリー」(レントゲン藝術研究所、1992)、「日本ゼロ年展」(水戸芸術館、1999-2000)のほか、釜山ビエンナーレ2016のプロジェクト1日本部門のチーフキュレーションなどを手がける。飴屋法水らと結成した「グランギニョル未来」のメンバーとして展覧会「Don’t Follow the Wind」(福島帰還困難区域)に出品中。

黒瀬陽平(くろせ・ようへい)
1983年生まれ。美術家、美術批評家。ゲンロン カオス*ラウンジ 新芸術校主任講師。東京藝術大学大学院美術研究科博士後期課程修了。博士(美術)。2010年から梅沢和木、藤城噓らとともにアーティストグループ「カオス*ラウンジ」を結成し、展覧会やイベントなどをキュレーションしている。主なキュレーション作品に「破滅*ラウンジ」(2010)、「キャラクラッシュ!」(2014)、瀬戸内国際芸術祭2016「鬼の家」、「カオス*ラウンジ新芸術祭2017 市街劇『百五〇年の孤独』」(2017-18)など。著書に『情報社会の情念』(NHK出版)。twitterのアカウントは@kaichoo。

スペース・プラン プロフィール|
1968年に結成された鳥取の前衛芸術家集団。1969年の第1回展以降、鳥取市内各所で1977年まで13回の展覧会を行った。主にミニマリズムを展開する一方、作品の内容や展示方法は、多岐にわたる試みがなされた。メンバーは、地元の美術界のつながりではなく、檄文によって集まった者たちで結成され、展覧会のたびに流動的に変わる。美術家のみならずプロダクトデザイナー、作曲家、建築家などが参加した。2回以上参加したメンバーに谷口俊、フナイタケヒコ、山田健朗、福嶋盛人、関盛徳、青木英二、白岡彪、計羽孝之がいる。

お問い合わせ|
鳥取大学地域学部筒井宏樹研究室
E-mail: tsutsuihiroki@tottori-u.ac.jp(筒井)

アクセス|
ギャラリー 鳥たちのいえ
〒680-0031 鳥取市本町1丁目201 ミュトスビル
TEL:0857-51-0701(ギャラリー)

ライター

トット編集部

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