人と土地の記憶を映像で記録するプロジェクト
「私はおぼえている」北栄・関金・湯梨浜で上映会
2019年8月10日(土)、11日(日)、17日(土)

鳥取に暮らす方々へのインタビューを行い、その方の半生とそれに結びつく土地の記憶を映像で記録・公開していくプロジェクト「私はおぼえている」。インタビューが撮影された北栄・関金・湯梨浜の3会場にて、これまで撮影・編集された4作品を上映します。


コラム「映像みんぞく採集」でもおなじみの「現時点プロジェクト」が、どんな人のどんな人生も、語り伝える価値があると展開している本プロジェクト。
上映される4本の映像は、北栄・関金・湯梨浜の80ー90代の男女のインタビュー。それぞれの幼少期の思い出から、暮らしや仕事の様子、そして戦時中の記憶などが、当時の鳥取県中部地域の姿とともに語られます。
いつかは消えてしまうそれぞれの人の記憶を、その人の姿や語り、長く暮らした場所の風景などを通じてひとつのかたちとした映像作品たち。今回新作は含まれませんが、これまでの上映会を見逃している方にはぜひ観ていただきたいです。

写真:河原朝子


「私はおぼえている」全4話上映会

北栄上映会
2019年8月10日(土)14:00-16:00
北栄町・大栄農村環境改善センター 研修室(鳥取県東伯郡北栄町由良宿423-1)

関金上映会
2019年8月11日(日)14:00-16:00
倉吉市・関金公民館 大会議室(鳥取県倉吉市関金町大鳥居193-1)

湯梨浜上映会
2019年8月17日(土)14:00-16:00
湯梨浜町・泊1区公民館(鳥取県東伯郡湯梨浜町泊726-3)

入場料|各回1,000円

問い合わせ先genjiten2017@gmail.com  / 080-3890-0371(野口)

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小椋久義さんと家族の記憶
関金にある山間の村、小泉。そこは6戸の世帯からなる小さな集落である。98歳の小椋久義さんには、小泉で過ごした自身の生い立ちを話していただいた。幼い頃に死別した母、大東亜戦争のこと、開墾したワサビ田と養魚場に至るまでの濃密な一代記が語られた。

小谷重信さんと海辺の記憶
湯梨浜にある日本海に面した小さな漁村、小浜。かつては貝殻とりと呼ばれるホタテ漁を主な産業としていたが、今では漁を生業にする者はいない。99歳の小谷重信さんには、幼い頃に手伝った貝殻とりの記憶を話していただいた。そこから湾に迷い込んだ鮪の群れ、自身の出征のことから現在の愉しみまで話は続いていった。

藤原喜代江さんと生活の記憶
関金の奥滝と呼ばれる山奥の集落に、ぽつんと一軒ある家に暮らしていた藤原喜代江さんには、兎の狩り方や、干し柿を観音市に売りに行ったことなど、生活の細かなことを話していただいた。貧しかった幼少期のことや、思い出される亡き母のことを、前向きに、時に笑顔で語られる姿がとても美しかった。

濱根良太郎さんと砂地の記憶
北条砂丘で農園を営む濱根さんには、まだ灌漑(かんがい)が進む前の様子や、砂地ならではの苦労を話していただいた。戦時中に極秘任務で燃料を隠した話や、案内していただいた跡地からは、今となっては想像が難しい、かつての砂丘地の風景を思い描くことができるお話だった。

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現時点プロジェクト
2017年1月にスタートした、生活習慣や生活用品、伝統行事や人々の記憶、自然環境などを映像と写真で記録保存し、アーカイブ資料を一般公開することをメインの事業とするプロジェクト。日常の中にある小さな驚きや、忘れられていた大切なことを発見していくことを目的とする。2017年は、バス停に置かれた椅子を通して地域コミュニティーのあり方を考える展覧会『バス停や椅子』を倉吉市内で開催。また、当ウェブマガジン「totto(トット)」では波田野州平の映像レポート『映像みんぞく採集』を連載中で、日常の中にある発見を記録する行為を基点とした活動を行っている。
https://www.instagram.com/genjiten2017/

ライター

トット編集部

当ウェブマガジン編集部。鳥取の今をアートやカルチャーの視点から切り取ってお届けします。不定期に集まり、運営方針や記事内容の検討などをする編集会議を開いています。随時メンバー募集中!