波田野州平
映像みんぞく採集
#2 八橋往来の御柱

映像作家の波田野州平を中心に結成された記録集団「現時点プロジェクト」が鳥取県の各地を巡って、観光案内では紹介されない(されるはずのない)場所や物事に熱視線を注ぎ、映像でレポートを提出します。日々の視界を少しだけ広くする報告書。お忙しい1日の隙間にご覧ください。


奈良時代から倉吉と八橋を結んでいた八橋往来と呼ばれる街道の、倉吉市越中町から西岩倉町にかけて突然現れたのは半分に切られた6本の電柱。長野県諏訪地方の御柱祭かと目を疑ったが、老朽化のため新しくする工事の途中だという。街道の風情を残す町並みと産業遺産に片足を突っ込んでいる半電柱の組み合わせが、今に至る時代の層を表している。数日後には姿を消すというが、ぜひ現代の巨石遺跡として後世まで残してもらいたい。

いつ消えてなくなってもおかしくないので、一緒にツーショット写真を撮りたい方はお急ぎください。くれぐれもよじ登るのはお止め下さい。
それではまた次の隙間でお会いしましょう。
ライター

波田野州平

鳥取生まれ東京在住。辺境と中央を往復して制作(映画を作ったり、ライブを撮ったり、ミュージックビデオを作ったり)しています。今は記録メディアとしての映像の役割にとても興味を持っています。