レポート:「MeetuP vol.04+」——力ある作品が、然るべき場所で輝く
2025年7月、鳥取県立美術館の県民ギャラリーで開催された「MeetuP vol.04+」を訪れた。あいサポート・アートセンター10周年を記念し、全国から集まった多彩な表現と鳥取県内の作家による力強い作品が一堂に会した本展の会場をレポートする。

あいサポート・アートセンターの設立10周年を記念して、鳥取県立美術館の県民ギャラリーで開催された「MeetuP vol.04+」。障がいのあるアーティストが生み出したアート作品を紹介する企画として2023年より続いてきた「MeetuP」の第4回にあたる本展は、「鳥取県立バリアフリー美術館 リアル展示」と、一般財団法人たんぽぽの家企画「いま、ここ、ずっと—表現する人と時間—」という二つの展示で構成されている。
県民ギャラリーは広いスペースに大きな窓が開口し、明るく開放的な印象の会場だ。この空間に、二つの展示が一体的にレイアウトされている。
会場に入って最初に展開されているのは、たんぽぽの家が企画した「いま、ここ、ずっと—表現する人と時間—」である。
入場して真っ先に目を引くのは、酒井美穂子さん(やまなみ工房)の展示だ。壁一面にレイアウトされた無数の醤油ラーメンのパッケージ。しかも、食べた後のゴミではなく、未開封のパッケージがそのまま大量に並べられている。酒井さんは一つのものに執着を抱くようになり、朝起きてから夜眠るまでのほとんどの時間、このラーメンのパッケージを触り、音を立て、見つめ続けているのだという。パッケージには施設のスタッフによって日付が記され、彼女が日々向き合った痕跡が一つずつアーカイブされている。

この酒井さんの作品と対を成すかのように見えるのが、伊藤樹里さん(たんぽぽの家アートセンターHANA)の作品だ。30年以上前から集めている薬の殻を展示したもので、「JURIX WORKS」と名付けられている。自身が飲んでいる薬のほか、他のメンバーやボランティアからもらったものも集めており、その薬の名前や効果、誰からもらったかなどのほとんどを記憶しているという。

どちらも反復的な行為から生まれた表現だが、酒井さんの場合はその行為が何を意味するのか周囲にあまり理解されないという一方、伊藤さんの場合はそれがコミュニケーションのきっかけになっているという対比が興味深い。日々繰り返される行為でありながら、その意味が異なるところに、表現の奥深さがある。
ある種、現代アート的にも見えるこれらの作品に比べ、ポップな造形や絵画も多く目立つのが本展の特徴だ。とりわけ私の目を引いたのは、中村真由美さん(たんぽぽの家アートセンターHANA)の動物をモチーフにした作品の数々である。張り子による動物の造形は、生き生きとした表情と抱き上げたくなるような大きさで、本当に動き出しそうな愛らしさがある。一方、平面の作品は、緻密なイラストから、厚塗りと点描的なストロークで動物という具象を再構成するような絵画など、幅広い。何より、彼女の色使いのオリジナルさはシグネチャーと言える作風で、こんな色使いがあるのかと感動せずにはいられなかった。


また、会場では絵画や造形だけでなく、たんぽぽの家アートセンターHANAで行われた演劇プログラム「HANA PLAY」のアーカイブ展示も目を引いた。本展の関連イベントとして、鳥取県の「鳥の劇場」が主催する短編戯曲の公募プログラム「みんなが書く戯曲のコンテスト」優秀・入選作品のリーディング上演会も行われており、「HANA PLAY」の展示とあわせ、障がいのある人の表現が絵画や造形にとどまらない多様な広がりを持つことを示していた。
改めてこれらの作品を見渡すと、たんぽぽの家企画の展示は、全国的に活躍する実力派アーティストの作品が勢揃いしている印象だ。作品や展示として見せる周囲のサポートを含め、その表現がここまでの高みに到達できるのだという、レベルの高さを強く感じた。
一方で、順路の後半に続く「鳥取県立バリアフリー美術館 リアル展示」で展開された鳥取県内の作家の作品にも、力強く印象に残るものが多かった。

リアル展示エリアの正面で来場者を迎えるのは、山本康介さん(アートスペースからふる)の「紙芝居」だ。木とアクリル絵の具で制作された立体作品で、ビビッドなカラーリングが目に飛び込んでくる。普段はオンラインで鑑賞するバリアフリー美術館だが、素材の質感や立体の奥行きなど、あらゆる角度から詳細に鑑賞できるリアル展示は、こうした立体作品と特に相性が良い。本作品はまさに、リアル展示だからこそ真価が伝わる一点だった。同じく山本さんの「からふるのうみ」三部作も圧巻だ。巨大なキャンバスにあらゆる色をドリッピングで施した作品の迫力には、目を見張るものがあった。

また、真山峰明さん(もみの木福祉会)の「鳥」と題された絵画が3枚展示されていた。一枚一枚が全く異なる形や色で構成されているが、どれも緻密で造形的にも面白い。無数であり反復であるその密度が、とても印象的な作品群だった。

何よりこの「MeetuP vol.04+」を通じて思ったのは、これらの力のある作品たちが展示される「場所」が整備されることの意味の大きさだ。
鳥取県立バリアフリー美術館がオンライン上に開設されたことで、障がいのあるアーティストの作品が体系的に紹介される場が生まれた。それは、いわば「美術作品として示すための箱」ができたということだった。そして今回、鳥取県立美術館という物理的な場所が新たに用意されたことで、その箱はさらに大きく、力強いものになった。
力のある作品が、最もふさわしい状況で展示される。その環境こそが、さらに作品を輝かせるという事実は疑いようがない。紛れもない「美術」として展示される場で、障がいのあるアーティストの作品が他の作品と等しく並べられ、美術を目当てに訪れる人たちの目に触れる。その状況が実現していることに、大きな意義を感じた。それはもちろん、ここに展示されている作品の良さ、その素晴らしさが第一にあってのことである。
新しく場所が立ち上がり、力のあるアーティストの作品が明示される。こうした機会や場所が一つずつ整備されていくことの意味は、やはり非常に大きい。
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※この記事は、あいサポート・アートセンターからの依頼を受けて制作したPR記事です。