民藝の郷から工芸の郷へ
「西郷工芸の郷」でシンポジウム

 鳥取市河原町の西郷地区は、陶芸をはじめ、ガラス工芸、木工芸、日本画、手芸、機織などさまざまな分野の作家が在住し、2017年から「西郷工芸の郷」づくりを進めています。鳥取の民藝・ものづくりにおいては、いま最も注目のエリアのひとつ。3月10日(日)には、「西郷工芸の郷」のこれからを、作家と住民が一緒に考えるシンポジウムが開催されます。


鳥取市河原町西郷地区

鳥取市河原町の西郷地区は、清流・曳田川に沿った自然豊かな集落で、1200人ほどが暮らしています。ここには、江戸時代から180年余り続く「牛ノ戸焼」、緑・白・黒の染め分けが人気の「因州中井窯」、白磁の人間国宝・前田昭博さんの「やなせ窯」、そして2017年に移住してきた陶芸家・花井健太さんが新たに開いた「花輪窯」と、4つの窯元があります。このほかにもガラス工芸「ukiroosh(ウキルーシュ)」や木工芸「工房このか」などの多様な表現をする作家たちが集まっている、ものづくりが盛んな地域です。昭和初期には、鳥取の民芸運動家・吉田璋也らの指南を受けた歴史もあり、民藝の郷としても知られています。

「牛ノ戸焼」の登り窯

西郷地区が一年で最もにぎわうのは秋に開催する「西郷工芸まつり」。西郷地区在住の作家を中心に、鳥取在住の作家たちが作品を展示販売します。3回目となる2018年は初めて2日間開催し、集落の人口を上回る約1600人を集客しました。
「西郷工芸祭り」は外の人たちに西郷地区の魅力を知ってもらえるだけでなく、作家たちにとってもお客さんと対話できる貴重な機会。どんなものを生活の中に取り入れて使いたいかなど生の声を聞くことは創作意欲をかき立てるんだとか。

「西郷工芸祭り」の会場では、作家たちによるトークも行われた
「花輪窯」のマグカップ
「工房このか」のおままごとセット(一部)

工芸の郷づくりを進めている、一般社団法人 西郷工芸の郷あまんじゃく代表理事の北村恭一さんは、「回を重ねるごとに、良いものを手ごろな価格で買い求められることが広まり、購入したいという気持ちを持って来場してくれるお客さんが増えてきた」と、手応えを感じています。

今年度の締めくくりに開催されるシンポジウムでは、哲学者で民藝についても造詣の深い明治大学准教授の鞍田崇氏をゲストにお招きします。鞍田氏の講演「民藝のいとおしさ―民藝の本質とは―」のほか、西郷地区の作家たちが登壇するパネルディスカッションも行われます。民藝の魅力と「西郷工芸の郷」のこれからについて、一緒に考えてみませんか。

写真:宮本英典


 西郷工芸の郷 文化シンポジウム
「西郷工芸の郷」のものづくり ―民藝の郷から工芸の郷へ―

日時:2019年3月10日(日)13:30-16:30(開場13:00)
会場:西郷地区公民館(鳥取市河原町牛戸15-1)
入場無料 予約不要

<タイムスケジュール>
13:30 開会
13:40 講演「民藝のいとおしさ―民藝の本質とは―」
講師:鞍田崇氏(明治大学准教授)
15:00 休憩
15:15 パネルディスカッション
・コーディネーター:鞍田崇氏
・パネリスト:西郷地区の作家たち
16:30 閉会

<講師プロフィール>
鞍田崇 Takashi Kurata
昭和45年兵庫県生まれ
明治大学理工学部 専任准教授
京都大学大学院人間・環境学研究科博士課程修了
学位:博士(人間・環境学)
・民藝の本質を「インティマシー(intimacy)=いとおしさ」という概念からとらえなおし、「ものと人との間に生じる「いとおしさ」こそが、民藝の『のびしろ』である」という結論を導いている。
・NHK趣味どきっ!私の好きな民藝
2018年4月~5月(NHK Eテレ 全9回)
・カルチャーラジオ芸術その魅力 いまなぜ民藝か
(NHKラジオ第2 全10回)

<問い合わせ>
一般社団法人 西郷工芸の郷あまんじゃく(西郷公民館内)
TEL:0858-85-0445
FAX:0858-85-0591
MAIL:cc-saigo@it.city.tottori.tottori.jp

ライター
トット編集部

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