レポート:トットローグvol.15
「あなたのホットイシュー、誰かと共有しませんか?」

2023年8月21日、トットローグvol.15「あなたのホットイシュー、誰かと共有しませんか?」が開催されました。対話の場のお試し体験として、場づくりに関心のある方に自身のなかで「ホット」な話題を共有してもらい、他の参加者とやりとりをするという会。その様子をレポートします。


トットローグでは対話の場に参加してもらうだけでなく、“対話のプラットフォーム”としていろいろな方からテーマを持ち込んでもらったり、対話を企画する場として利用してもらうことを意図しています。当初は編集部や一部のライターを中心に対話のテーマを考えてきましたが、もっと多くの方に企画面で参加してもらいたいと、vol.15では対話の場づくりに関心のある方とご自身のホットイシュー(関心のあるテーマ)について話す会を開催しました。関心あるテーマについて他の参加者やトット編集部のメンバーと短くやりとりをすることで、テーマについて複数人で話す体験をし、対話の場づくりの雰囲気を実感してもらえたらと思いました。当日はオンラインで、県内から1名と県外から1名の参加があり、企画側を含め5人で話をしました。

昨年の振り返り

この回は今後の展開を考える上で、これまでのトットローグを振り返る主旨も含んでおり、前半では2022年度に開いたトットローグの振り返りを行いました。新たに対話の場を開く人にも向け、昨年度の各回が成立することになった経緯を中心に、企画に関わったメンバーが説明しました。

各回はトットライターが独自に企画したり、テーマを提案してくれた人に企画をお願いしたり、編集部が提案されたテーマを引き取って開催するなどの形で行われました。テーマについては、トットがかかわりの深い分野や施設(美術館)に関するもの(vol.8「2022年に見たマイ・ベスト展覧会」)、ライターの個人的な人生経験から発してそれをより多くの人と「提案」という形で共有しようとするもの(vol.9「ソバーキュリアス」ってナンダ?-「あえて飲まない」コミュニケーションのかたち-)、県内の魅力的なプロダクトを広めるためのアイデアを募集しようとするもの(vol.10「これからのフォトツーリズムの可能性 〜アート・暮らし・手仕事〜」)、企画者が関心ある人同士を組み合わせる対談形式としたもの(vol.11「アートと教育 〜子どもの成長に必要なものは?〜」)などがありました。3回シリーズで企画された対話もあり、最初の回(vol.6)で声をかけたゲストと続けて話したいテーマが浮かび、その後の2回も一緒に開催(vol.7, 12)するという形で、時事的なニュースをきっかけに現在の社会について考える対話シリーズでした。

全体としてトット編集部が企画に関わった回では、発案者によるテーマとトットに集まる情報やアイデアが組み合わされ、今鳥取で現在進行形で起こっているモノや出来事と結びついた対話の場が生まれていました。これはトットローグ独自の特徴といえ、トットローグを利用することで成立する場の可能性を感じました。全回を通して企画に関わった副編集長の濱井さんからは、vol.8では鳥取県の東中西部からいろいろな人が集まり同窓会的な雰囲気になったこと、終了後もその場にいる人たちで1時間以上話が盛り上がり、このようなことができるのがオンラインではなく対面のいいところだと発言があり、vol.11で対談を行った編集長の水田さんからは、対談相手が素敵な空気感をもっている人だったので、それを伝えるにはオンラインより対面でやってもよかったかもしれないとの発言がありました。コロナ下でのオンラインによる実践を経て、対面の場の特徴や可能性が、より浮かび上がってきたともいえます。

「ホットイシュー」についての対話

前年度の振り返りに続き、後半は参加者2名の「ホットイシュー」についてそれぞれ15分ほど話しました。1人目は鳥取の大学を卒業し現在は東北地方で働かれている方で、両県の教育やまちづくりについて比較しながら話しました。2人目は移住者で現在県内在住の方が、普段なかなかまわりに話せる人がいないというテーマを提案され、全員で話しました。

2つ目のテーマは企画側の3人が不慣れな話題だったこともあり、意図を汲み取りきれなかった面がありました。この参加者からは、今回特定のファシリテーターを設けなかった進行等、対話の場の安全性に対する意見も寄せられました。企画側にも意図はあったものの、参加者に十分話をできなかった感触を残してしまったことは反省点でした。これまでのトットローグを振り返った上で次にどのような実践につなげられるかということで「お試し」の会を企画しましたが、そもそも対話について「お試し」ができるのかということや、仮にそうする場合、対話の場について様々な経験をもつ方の参加が考えられ、より慎重な配慮が必要になるのではないかということに気づかされました。

他方、以前鳥取に住まれていた県外の方と対話の場で出会えたことに、鳥取という地域を軸としながら他県の方とつながる可能性を感じ、またトット関係者から出てこなかったテーマには、編集部の興味や嗜好を反映するだけではない様々な人が利用できるプラットフォームとして、トットローグが展開していく広がりのあり様を見せてもらった思いがしました。2022年度の振り返りとこの回の反省を活かし、今後のトットローグがより楽しいプラットフォームとして発展していけばと思いますし、筆者もトットローグを利用し対話の実践をしていきたいと思います。


トットローグ vol.15「あなたのホットイシュー、誰かと共有しませんか?」

日時|2023年8月21日(月) 19:00ー21:00
場所|オンライン会議システムzoom

企画・参加者|nashinoki(ライター)

主催|鳥取藝住実行委員会
助成|中国5県休眠預金等活用事業2021

ライター

nashinoki

1983年、鳥取市河原町出身。鳥取、京都、水俣といった複数の土地を行き来しながら、他者や風景とのかかわりの中で、時にその表面の奥にのぞく哲学的なモチーフに惹かれ、言葉にすることで考えている。