イトナミダイセン藝術祭2026
10月31日(土)-11月15日(日)開催

鳥取県西部の大山町を中心とする地域で毎年開催され、ものづくりの根源的な楽しさとひとりひとりのもつ創造性を大切にしてきた「イトナミダイセン藝術祭」。10年目を迎え区切りの年となるといいます。今回に向けた想いや魅力を、当藝術祭アートコーディネーターの薮田佳奈さんに寄せていただきました。


今年で10年目を迎えるイトナミダイセン藝術祭。10年という節目を迎える今年をもって、一旦幕を下ろすことになりました。変わらず盛りだくさんの16日間。皆さまと一緒に、思う存分楽しめたらと思っています。少しでも藝術祭の魅力が伝わればうれしいです。
まずは、藝術祭のアートディレクター・大下志穂によるステイトメントを、ぜひご一読ください。

10年目のイトナミダイセン藝術祭に寄せて

10年という節目を迎える今年は、藝術祭の始まりとともに抱き続けてきた「舟を造る」という夢が、ついに現実のものとなり、潮舟ペガサス号を日本海に進水。
空を飛ぶ天馬ペガサスのように。
天に輝くペガスス座のように。
自由に、軽やかに。
過去も未来も、あらゆる概念や境界も、
想像力と創造性でノーリミットに越えていこう。
全感覚を全方位に解放して、16日間の藝術の祭典を楽しみましょう♪
The sky’s the limit. Aim for the stars!

大下志穂

訪れた誰もが楽しめるように

藝術祭を初めた頃は「てまひま」の納屋ギャラリーだけだった展示も、回を重ねるごとに関わるアーティストが増え、展示場所やイベント会場も広がってきました。今年もメイン会場の長田エリアを飛び出し、町内外のさまざまな場所で作品展示やイベントを開催します。
伯耆町エリアでは、11月3日に矢田貝邸でイベントを開催。さらに、11月8日から11日までの4日間はペンション暖暖で絵画を展示します。そして、藝術祭最後の3日間となる11月13日から15日までは、琴浦町八橋エリアへ。日本海を一望できるスタジヲフウカとやばせ荘でも作品をご覧いただけます。

また、暮らしの中でアートに触れる機会や時間をつくりたい。そんなディレクターの想いから、アートだけでなく、美味しいものや、見ているだけでも楽しいイトナミショップ、マルシェも開催します! ギャラリーでは日替わりカフェも出店しています。
メイン会場では、11月1日から3日までの3日間「イトナミマルシェ」を開催。そして琴浦会場では、11月13日から15日までの3日間、「コトウラマルシェ」が開かれ、さまざまな出店者さんが会場を彩ってくれます。作品をじっくり鑑賞するもよし、美味しいものを味わうもよし、お気に入りの品を探すもよしです。

大山のめぐみから生まれた、天然の絵の具と大きな絵

ギャラリーに入ると、まず出迎えてくれるのが、大山の絵の具で描かれた大きな絵。この作品は、神奈川県在住のアーティスト、スギサキハルナさんと一緒に、参加型で制作した絵画作品です。
昨年12月から、大山エリアで採取できる植物や土、牡蠣やカニの殻などを使って、天然の絵の具づくりが始まりました。さらに今年6月の滞在時には、「幻のロイヤルパープルを探せ!」と有志を募り、海へ出てイボニシ貝を採取。貝の体内にある「鰓下腺(さいかせん)」から得られる貴重な紫色も加わり、大山のめぐみから生まれた天然の絵の具は、なんと30色!絵の具にも、絵にも、たくさんの物語が詰まっています。自然から生まれた色は、なぜか不思議と親しみやすく、眺めていると、次々にいろんな表情が見えてきます。

藝術祭期間中には、絵の具づくりから始め、その絵の具を使って実際に絵を描くワークショップも開催します。自分でつくった絵の具で、自分だけの絵を描く。藝術祭ならではの、なんとも欲張りなワークショップです(11月1日開催)。ぜひ参加してみてくださいね。


イベント目白押しの16日間!

毎年、多種多様なイベントが開催されるイトナミダイセン藝術祭。今年も見逃せない企画が盛りだくさんです。

〈キリキリマイマイ演劇&ダンス劇場〉
昨年、初の試みとして開催されたこの企画。アーティストの底力をまざまざと見せつけられる、合計2時間半の舞台です。開演の2時間前にアーティストたちが集合。そこで初めて目にする文芸作品(詩・川柳)をもとに、制限時間わずか2時間で、各々15分ほどの新作舞台作品をアーティストたちがそれぞれにつくり上げます。
正直、何が見られるのかは、その瞬間になってみないとわかりません。まさに、手に汗握る本気の舞台! アーティストの集中力と底力、熱量と爆発力に圧倒されること間違いなしです。舞台の最後には作家自身による朗読も。その対比も、この企画の楽しみのひとつです。一期一会の舞台芸術をぜひ体感してください。

〈舟出の祝祭〉
今年の目玉は、なんといっても「舟出の祝祭」。構想に10年、舟づくりに約1年をかけ、今年7月に完成した潮舟(スウニ)ペガサス号。無事に進水式を終えたこの舟を大山ウッドサークルへ運び、藝術祭の中でも皆さまにお披露目します。
当日は、舟の完成と舟出を祝って、さまざまな芸能が集まり、歌い、踊ります。私たちも有志を募り、鳥取に伝わる海の芸能「貝殻節」を練習して披露する予定です。飲食の出店もあり。10年の夢が形になり、新たな航海へと踏み出す潮舟ペガサス号。ぜひ一緒に、楽しく、おいしく、舟出を祝いましょう!

〈トークイベント:ものづくりから考える森と海の未来〉
ペガサス号を造るために、私たちは大きな1本の杉の木から、その命をいただきました。森の木が舟となり、海へと漕ぎ出していく。潮舟ペガサス号を造るひとつのきっかけとなったハワイの伝統航海カヌー「ホクレア」の存在と、その背景にある、森と海、そして人との深いつながりについて考えるトークイベントを開催します。
登壇するのは、ハワイの伝統航海カヌー「ホクレア」の日本人初クルーである内野加奈子さん、伝統航海カヌーの修復プロジェクトでディレクターを務めるベン・デュラマンさん、そして、潮舟ペガサス号をともにつくり上げてくれた宮大工の北村裕寿さん。それぞれの視点から、ものづくりや環境のリアル、森と海の未来について語り合います。
さらに、ハワイの伝統航海カヌー「ホクレア」のドキュメンタリー映画の上映もあります。1本の木から始まった舟づくりを通して、私たちの暮らしと自然とのつながり、そしてこれからの森と海の未来について、一緒に考えてみませんか?

〈関連企画:星と舟のスターコンパスをつくろう!〉
藝術祭がお休みとなる11月11日(水)には、内野加奈子さんから「伝統航海術」を学ぶ特別プログラムを開催します。風や星の動き、波や海のさまざまなサインを読み取り、自然の力を頼りに大海原を渡る伝統航海術です。
今回のプログラムでは、航海の大切な手がかりとなる「スターコンパス」について学び、大山ウッドサークルを使いながら、実際にスターコンパスをつくります。そして、夜空に星が現れたら、いよいよ実践! 自分でつくったスターコンパスを使いながら、星と航海のつながりを体験します。自然を深く観察し、その声に耳を澄ませながら海を渡る。そんな先人たちの知恵に触れられる、貴重な機会です。星空を見上げながら、自然とともに生きる航海の知恵を一緒に学んでみませんか?

今年も盛りだくさんのイトナミダイセン藝術祭。満喫していただけたらうれしいです。ぜひ気軽に足を運んでみてくださいね。


イトナミダイセン藝術祭2026

会期|2026年10月31日(土)-11月15日(日)
会場|鳥取県西伯郡大山町・伯耆町、東伯郡琴浦町

WEBサイト|https://www.itonamidaisenartfestival.com/
イベント・WS予約|https://qr.paps.jp/Dxdeh
※基本的に全てのプログラムが予約制です。WEBサイト等で確認しご予約のうえご参加ください。

主催|こっちの大山研究所
鳥取県西伯郡大山町妻木578-2​(妻木ハウス内)
​daisenlabo@gmail.com
080-4026-6017(薮田)
080-6566-8695(大下)

 

ライター

薮田佳奈

兵庫県淡路島出身。大山アニメーションプロジェクト2013の作品『KAPPA-CHAN』をきっかけに2014年大山町に移住。大山町長田に明治13年に建てられた古民家を購入し、2016年に複合施設「てまひま」をオープン。月1回のおでん居酒屋を営み、毎年秋にはイトナミダイセン藝術祭の会場となる。イトナミダイセン藝術祭アートコーディネーター。