〈イトナミダイセン藝術祭2023〉楽しみ方のススメ

鳥取県西部のまち大山町の長田地区を中心に展開されてきたアートプロジェクト〈イトナミダイセン芸術祭2023〉が、10月28日(土)-11月12日(日)の会期で今年も開かれます。今回はその楽しみ方をイトナミダイセン藝術祭アートコーディネーターの薮田佳奈さんが余すところなくご紹介します。


2013年に〈大山アニメーションプロジェクト〉として始まった「地域」と「アート」の取り組みは、年々進化を遂げて2017年に〈イトナミダイセン藝術祭〉となり、今年で通算11年目になります。
そして、何を隠そう、アートとは無縁の暮らしをしていた私は、この初年度となる大山アニメーションプロジェクト2013の作品『KAPPA-CHAN』をきっかけに大山町に移住してきて、今は主催側として奔走しています。人生は何がおこるか、本当にわかりません! そんな私が、今回はtottoの1コマをお借りしてイトナミダイセン藝術祭2023(以下、藝術祭)の楽しみ方をご紹介できればと思います。
まずは藝術祭のアートディレクター大下志穂によるステイトメントをぜひご一読を。

今年の藝術祭のテーマ「Sail across time and space」。
翼という名の帆に風を受け、行きたい未来へ舵をとり、時間も空間もこえて舟を帆走(はし)らせるというイメージ。
私たちは宇宙に漂う小さな舟。
時代の波に翻弄され、飲み込まれ、漂流することもあるけれど、家族や仲間と出会い、一緒に帆柱を建て、同じ星を道標に航海を続けることで、たどり着ける場所もある。
「意図」をもって「波」を越えた先にある自分らしいイトナミの姿。
創造性を糧に、歴史も時空もなにもかも超越し、行きたい場所へ行き、会いたい人に会い、なりたい自分になるために、大海原をともに航海したい。
イトナミダイセン号、出航です!
今年は、仲間も増えてますます伸びやかに開らかれた藝術祭になってます。イトナミの中にある16日間の藝術の祭典を一緒に楽しみましょう。 

今回の藝術祭のテーマ設定は、沖縄県西表島で女性船大工として沖縄の木造船サバニ(スウニ)を作る國岡恭子さんとの出会いが大きなきっかけになっています。今年の藝術祭ポスターの絵は、國岡さんが舟の魅力をよりたくさんの人に伝えたいと、人生初の木版画に挑戦し、物語を描き作った絵本「潮船(スウニ)」の1ページです。(10月完成予定!)

イトナミダイセン藝術祭2023ポスター 絵:國岡恭子 デザイン:大下志穂

この絵本は、今年で4年目の参加となる影絵ユニットhoshifuneのわたなべなおかさんが主宰するやらだ出版から生まれた絵本で、イトナミダイセン藝術祭のアートディレクター大下が絵本のデザインを手がけました。そんなご縁からギャラリーでは出来立てホヤホヤの絵本「潮船(スウニ)」の原画を展示していただきます。その他にも沖縄紅型作品や写真家水本俊也さんの因州和紙に印刷された写真作品の展示に刺繍作品など素敵な作品の数々を見ることができます。
藝術祭期間中は、毎日いろんなワークショップや、歌、芝居、影絵公演など盛りだくさん!日替わりのコーヒー屋さんにお買い物できるショップコーナー、土日祝日はランチもあります!
最新情報は、イトナミダイセンFBページ、インスタグラムで随時更新中ですのでそちらをご覧ください。


どう楽しむ?イトナミダイセン藝術祭2023 楽しみ方4選!

今までイトナミダイセン藝術祭に来たことがある方も、そうでない方もいろんな角度からお楽しみいただけると嬉しいです。

てまひま(イトナミダイセン藝術祭2022)

①お客さんとして参加する

一番オーソドックスな楽しみ方です。ここでオススメしたいのは、長く居座ること。
まずはギャラリーへ!ギャラリーは「てまひまギャラリー」と、お向かいの「車屋ギャラリー」と2ヶ所に別れています。
一気に回るのも良いですが、日替わりのコーヒー屋さん、お買い物が楽しめるショップコーナー、土日祝日は日替わりでランチ出店もあります。エネルギッシュな作品ばかりなので、ほっと一息挟みながらじっくり作品をお楽しみいただければと思います。さらに今年は、中山エリアのまぶや、アフリカの風ハクナマタタでも常設展時しています。お見逃しなきように!!
また、イトナミダイセン藝術祭のギャラリーは美術館とは違って自然光も入るので、時間帯によって見え方が変わります。同じ日でも時間を変えて、お近くの方は日を変えて、複数回ギャラリーに来てみてください。好きな作品の別の表情が見えるやもしれません。そして、アーティストさんが在廊してくれている日もあるので直接お話を聞けるのも嬉しいポイントです! ワークショップにも是非参加してみてください。何に参加しようか迷った時はご一報ください。ピッタリのワークショップやイベントをご案内いたします。

てまひまギャラリー(イトナミダイセン藝術祭2022)

②スタッフ側として参加する

現在、絶賛藝術祭準備中です!会場作りや事前準備など一緒に藝術祭を作り上げる側になりませんか?正直、草抜いたり、お掃除したり、地味な作業が多いですが、展示される作品をより素敵に見てもららうための大切な作業です。
ここでのおススメポイントは、会場作りをしていると作品たちがどんどん搬入され、空間が「ケ」から「ハレ」に変わっていく様子が見れるのです。これは、裏側特権!想像以上にじわじわくる感動ポイントです。
また、藝術祭期間中、ギャラリーやイベントの受付からお店番、写真を撮ってくれる人など、スタッフとして関わってくれる方も大歓迎しております。特に写真はそれぞれ見る視点が全く違うので、いろんな方が関わってくれることで、自分だけでは見れない藝術祭のワンシーンを見ることができます。写真好きな方は是非とも!
ここでのおススメポイントは、役割があることで、その場所に行きやすくなる。私自身、実は人見知りで新しい場所は得意ではないのですが、何か役割があると初めての場所でも、グッと行きやすい場所となります。話すのも得意ではないけれど、作業しながらだとリラックスして話ができたり。1日でも数時間でもOKです。できる人ができることを。参加だけでは物足りない方、裏方大好きな方、お子様連れも大歓迎です。

大山踊るワワワ祭(2016年)

③出演者として参加する

「大山ワワワ音頭」の踊り手、演奏部隊として参加してみませんか?
2016年にチャンキー松本さんと一緒に作った「大山ワワワ音頭」、サビの部分が印象的で、お隣の方と手と手を合わせてみんなで輪になる素敵な音頭。世の中の流れでなかなか手を合わせることが難しかった昨今、今年こそは!と参加者を広く募集しております。
集まれる方は一緒に、遠方の方は、手を合わせられなかった時間に手と手の間を埋めてくれたオンラインを使って一緒に練習しましょう! 音頭披露は、11月5日、国史跡上淀廃寺跡にて、本番飛び込み参加も可能ですが、事前に練習している方が確実に楽しめます!
老若男女どなた様でもご参加いただけます!みんなで大きな輪を作りましょう!

車屋ギャラリー(イトナミダイセン藝術祭2022)

④遠くからでも楽しむ方法

現場に勝るものはありませんが、遠かったり、予定が合わなかったり、どうしても来れない方もおられると思います。会期中はもちろんですが、準備の段階から、できるだけSNSは随時更新していこうと思っています。是非ともフォローなどしていただき楽しんでもらえたらと思います。
「イトナミダイセン藝術祭のパンフレットは読み物だ!」とよく言っていただきます。16日間の内容を凝縮されたパンフレットは読み応え十分です。ご希望の方は1枚からでも郵送しますのでご連絡ください。

どれもこれも、少しでも気になった方はお気軽にお問い合わせください。いろんな方と一緒に2023年の秋を!イトナミダイセン藝術祭を楽しめたらと思います。


トップ画像:よしとの新感覚紙芝居(イトナミダイセン藝術祭2022)


イトナミダイセン藝術祭2023

会期|10月28日(土)-11月12日(日)
時間|常設展示 11:00-18:00 最終日17:00まで(宇宙料金) ※月曜休み
会場|てまひま、車屋入江邸、大山ガガガ学校、長田神社、玉簾山清見寺(大山町長田282 周辺)
   上淀廃寺跡(米子市淀江町福岡)
   アフリカの風ハクナマタタ(大山町平田3-6)
   すえよし倶楽部(大山町末吉)
   大山ウッドサークル(大山町加茂)
   まぶや(大山町上市29)
   中山神社(大山町束積8)
   (遊)ナカヤマ(大山町田中575-2)
主催|こっちの大山研究所
共催|鳥取県
助成|令和5年度 文化庁 文化芸術創造拠点形成事業

お問合せ|こっちの大山研究所
 鳥取県西伯郡大山町妻木578-2
 daisenlabo@gmail.com
 080-4026-6017(薮田) 080-6566-8695(大下)
 http://www.itonamidaisenartfestival.com
 https://www.facebook.com/ITONAMIDAISEN/
 https://www.instagram.com/itonamidaisen

ライター

薮田佳奈

兵庫県淡路島出身。大山アニメーションプロジェクト2013の作品『KAPPA-CHAN』をきっかけに2014年大山町に移住。大山町長田に明治13年に建てられた古民家を購入し、2016年に複合施設「てまひま」をオープン。月1回のおでん居酒屋を営み、毎年秋にはイトナミダイセン藝術祭の会場となる。イトナミダイセン藝術祭アートコーディネーター。