「浜村温泉映画祭2018」気高く描く4本の失恋ストーリー

鳥取市気高町では、2014年から地域に根差した映画作りを行っています。自分たちで地元の話題を掘り起こして脚本を書き、地域の協力を得ながら撮影をし、毎年1本ずつ映画を作り上げてきました。今年度は4人が監督を務め、それぞれに「失恋」をテーマにショートムービーを制作。完成した4本の新作を披露する映画祭が2月25日(日)に開催されます。


映画作りの拠点「ことるり舎」

鳥取市気高町での映画作りの拠点になっているのは、浜村温泉街の中にある元みやげ物店を改装したアートスペース「ことるり舎」です。運営する荒尾極さん、純子さんご夫妻は、関西で映画や映像について学んだ経験があり、浜村で地域の人たちと一緒に映画を作りたいと、2014年に「浜村温泉湯けむり映画塾」をスタートさせました。日本映画界の重鎮、中島貞夫監督を講師に招き、シナリオの書き方など映画作りのノウハウをワークショップ形式で学び、その実践として映画を撮るというスタイルで、毎年1本ずつ映画を制作しています。

4年目となる今回はこれまでと趣向を変え、監督と地元のことに詳しい現地コーディネーターをそれぞれ4人選び、4つのチームにわかれ10~20分程度のショートムービーを制作しています。テーマは「失恋」。4者4様の失恋ストーリーが気高町内の風景の中で紡がれます。

4人の監督(左から、松島彩さん、青木伸和さん、名和輝明さん、津山愛理さん)

撮影は去年9~10月にかけて行われました。昨年度の作品『ここにある、こころの唄』でも監督を務めた青木伸和さんは、逢坂地区にある市の天然記念物「大タブノキ」の下で繰り広げられる高校生の失恋ストーリーを描きます。また、過去3年の全ての作品に出演している津山愛理さんは、酒津地区を舞台に、内気な青年が太鼓の音色に思いを重ねていくという物語を、和太鼓集団「逢鷲太鼓連」の皆さんの協力を得ながら撮影しました。

逢坂地区の「大タブノキ」の下で撮影する青木組
カメラを覗く青木監督とスタッフ

映画塾の新作映画の発表の場として毎年開催している「浜村温泉映画祭」は、“日本一小さな映画祭”をキャッチコピーに掲げるアットホームな映画祭で、県内外の映画好きな方をはじめ、地域の子どもからお年寄りまでが集まります。今年は新作4本が連続で上映されたあと、監督たちによるトークも行われます。第二部には、映画塾塾長の中島貞夫監督も登壇予定です。
さらに、その日の夜には、早くも次の映画制作に向けたキックオフイベントとして、気高町出身の作家、田中古代子の詩と随筆作品の朗読劇が上演されます。来年度以降は田中古代子に光を当て、新たに地元で制作チームを組んで映画作りに取り組んでいきたいとのこと。映画を通して地域の魅力を掘り起こし発信していく「浜村温泉湯けむり映画塾」の取り組みから目が離せません。

浜村温泉湯けむり映画塾のメンバーたち

浜村温泉映画祭2018
日時:2018年2月25日(日)12:00-19:30
会場:貝殻節の里 旅風庵/ことるり舎(鳥取市気高町浜村温泉)※JR浜村駅より東へ徒歩3分

プログラム
<会場1> 貝殻節の里 旅風庵 二階大広間
◆第一部13:00-15:00 入場料500円(第一部・第二部共通)
浜村温泉湯けむり映画塾2017作品上映
『失恋ゴースト』(監督・名和輝明)
『失恋太鼓』(監督・津山愛理)
『裸婦-Laugh-』(監督・松島彩)
『大タブの木の下で』(監督・青木伸和)
トークイベント
【登壇者】青木伸和 名和輝明 津山愛理 松島彩

◆第二部 16:00-18:00 入場料500円(第一部・第二部共通)
浜村温泉湯けむり映画塾2017作品上映
『失恋ゴースト』(監督・名和輝明)
『失恋太鼓』(監督・津山愛理)
『裸婦-Laugh-』(監督・松島彩)
『大タブの木の下で』(監督・青木伸和)
トークイベント
【登壇者】中島貞夫(映画塾塾長)
青木伸和 名和輝明 津山愛理 松島彩

<会場2> ことるり舎
◆12:00-15:00 入場料500円
浜村温泉湯けむり映画塾2014-2016作品上映
『ようこそ浜村へ』
『幻の漁火』
『ここにある、こころの唄』

◆18:30-19:30 入場料1,500円(定員40名)
特別企画 松島彩 朗読劇『鳴潮の聲』
(気高町出身作家・田中古代子の詩・随筆作品の朗読会)

問い合わせ:ことるり舎
TEL 090-4820-6556(荒尾)
E-mail cotorulisya@gmail.com
HP http://www.geocities.jp/cotorulisya/
FB https://www.facebook.com/cotorulisya/

 

ライター

濱井丈栄

1979年広島市生まれ。フリーアナウンサー。元NHKキャスター・リポーター・ディレクター。広島・鳥取・東京に勤務し、自ら取材し自分の言葉で伝えることを生業にしてきた。2014年、夫の転勤で再び鳥取へ。同年立ち上がった「鳥取藝住祭」の事務局にたまたま声をかけられたことをきっかけに、アートをいかした地域づくりに関わるようになる。最近の趣味は、さまざまな作家さんのワークショップに行くこと。特にものづくり系が好き。photo:田中良子