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2018.7.7

鳥取夏至祭2018 レポート

 6月22日(金)から24日(日)にわたり、音楽や踊りの即興パフォーマンスを鳥取市のまちなかで展開した「鳥取夏至祭2018」。2年目を迎えてさらに表現の質を高め、関わる人たちの層を厚くしています。2019年度に計画されている「鳥取銀河鉄道祭」への布石としても期待を集めました。


偶発的な出会いを表現へと変える
6月22日(金)から24日(日)まで、鳥取市内で「鳥取夏至祭2018」が開催された。鳥取大学地域学部付属芸術文化センター講師でダンサーの木野彩子氏とともに学生たちが中心となって活動する「鳥取夏至祭実行委員会」が主催。
昨年に続き2度目の開催であり、今回も県内外より30名ほどのアーティスト達が集結し、即興による音楽や踊りのパフォーマンスを行った。
本稿では3日間のうち、筆者が参加した23日(土)と24日(日)の様子についてレポートする。

「前夜祭」の様子(場所:鳥取大学アゴラ、2018年6月22日)

2日目となる23日(土)は午後の「ツアーパフォーマンス(周遊型公演)」で幕を開けた。
とりぎん文化会館、ギャラリー鳥たちのいえ、tottoriカルマ、真教寺公園、鳥取ペインクリニック2階、わらべ館広場、鳥取県立博物館というルートが当日の午前中に設定され、観客はそれを徒歩で巡りながら先々で10〜20分程度のパフォーマンスに遭遇していく。

「ツア―パフォーマンス」の様子(場所:真教寺公園、2018年6月23日)
「ツア―パフォーマンス」の様子(場所:ギャラリー鳥たちのいえ(2階)、2018年6月23日)

夜に行われたホスピテイルナイトでも同様に、非常に短い時間の中でアーティストたちは打ち合わせを行い、それぞれが持ち場に着いてパフォーマンスするということが繰り返された。
アーティストの組み合わせ、場所の雰囲気や特徴、その場にいる人たち、偶発的に引き合わされたそれぞれの要素に呼応しながら印象的な世界観を持つパフォーマンスが行われていた点に、集結したアーティスト達のレベルの高さを感じた2日目であった。

「ツア―パフォーマンス」の様子(場所:わらべ夢広場、2018年6月23日)
「ツア―パフォーマンス」の様子(場所:鳥取県立博物館、2018年6月23日)

翌24日(日)の午前中、アーティスト達の行進は、鳥取駅前サンロード内の朝市「いなばのお袋市」の中へ。賑やかな場所に賑やかな表現者たちが侵入していく。そのまま行進は駅前の風紋広場へ移動して、鳥取のインクルーシブ (1) ダンスグループ「星のいり口」と振付家のアティーナ・ヴァーラ(Athina Vahla)さんが作った作品の発表にたどり着く。真っ白な炎天下でのパフォーマンスは、広場を効果的に使ったものだった。

「いなばのお袋市」でのパフォーマンス(場所:鳥取駅前サンロード、2018年6月24日)
インクルーシブダンスグループ「星のいり口」のパフォーマンス(場所:鳥取駅前風紋広場、2018年6月24日)

そして午後には、最後のプログラムとなったわらべ館での「即興音楽とダンスのワークショップ」。これまで周囲の観客たちを巻き込む側だったアーティスト達が、参加者である子ども達に巻き込まれながら楽しむ姿が印象的なフィナーレとなった。

観客とパフォーマーとの境界
企画全体を通して、「境界を曖昧にすること」に非常に貪欲であったと感じた。
アーティスト達は舞台上でなく鳥取の日常の風景の中でパフォーマンスし、観ている人たちにも頻繁に働きかけてくる。そしてその境界を曖昧にされるほど、自分の「ただ観ている人としての態度」がどれほど頑ななのかを思い知らされた。距離をとって座る、静かに黙って見る、印象的な光景にスマホを向ける、決まったところを探して拍手をする。観客がいて成立するプチパトロンシステム (2) を採用してはいるが、目の前の人が突然歌い踊り出したとして、その瞬間に思わず観客に徹しないといけないと思ってしまう人は多いのではないだろうか。この反応は、いつも観る側に回ってしまっている私の、ある種の筋肉の衰えのような気がしてならない。だから、アートを自分に縁のないものと思っている人にこそ見てほしい企画であり、鳥取夏至祭はその点でとても挑発的で愉快な試みであった。

なお、筆者はこの春より鳥取県総合芸術文化祭・とりアート2019のメイン事業「鳥取銀河鉄道祭」の事務局を担当しており、その企画のプロデューサーもまた、鳥取夏至祭の主催者である木野彩子氏である。今回で繰り広げられたことのうちのいくつかが、鳥取銀河鉄道祭の下敷きとなっている事は間違いないなく、そういう視点でも今回の企画を見た。

写真:田中良子

トップ画像キャプション:「ツアーパフォーマンス」の様子(場所:tottoriカルマ、2018年6月23日)

1:包括的なという意味。年齢、性別、障害の有無にとらわれず、様々なメンバーにより構成されている。
2:好きなダンサーや音楽家に観客が直接投票できるシステム。鳥取夏至祭においては、各プログラムの参加料金で観客に2ポイントの投票権が与えられ、1ポイント=500円としてアーティストたちへのチップとなった。


鳥取夏至祭2018
会期:2018年6月22日(金)-24日(日)
会場:鳥取市中心市街地、鳥取大学地域学部付属芸術文化センター、旧横田医院、とりぎん文化会館、鳥取駅前サンロード、風紋広場、真教寺公演、ギャラリー鳥たちのいえ、わらべ館 他
主催:鳥取夏至祭実行委員会・キノコノキカク
共催:鳥取大学地域学部付属芸術文化センター、わらべ館
協力:新鳥取駅前地区商店街振興組合、若桜街道商店街、HOSPITALプロジェクト
助成:鳥取市中心市街地活性化協議会、文化庁大学における文化芸術推進事業(わらべ館ワークショップ部分)

問合せ:
鳥取夏至祭実行委員会(担当:木野)
saiko@tottori-u.ac.jp
0857-31-5130(鳥取大学地域学部付属芸術文化センター)
https://tottori-geshisai.jimdo.com

鳥取銀河鉄道祭
鳥取県総合芸術文化祭・とりアート2019のメイン事業として実施されるプロジェクト。宮沢賢治の名作『銀河鉄道の夜』を題材にした祝祭的移動型音楽劇「鳥取版銀河鉄道(仮)」を県内全域で展開していく。また「すべての人が芸術家である」という賢治の思想に基づき、県内様々な地域での活動や人々の暮らしを星座に見立てた88のトピックで紹介。これらは終着点である2019年11月の鳥取市内での本公演へと繋がっていく予定。
https://www.facebook.com/Gingatetsudou.Tottori/

ライター
野口明生

野口明生

1985年三朝町生まれ。 2013年より岡山市で『とりいくぐる Guesthouse & Lounge』『NAWATE』『奉還町4丁目ラウンジ・カド』などを立ち上げ運営。現在は、鳥取市を中心に鳥取県総合芸術文化祭・とりアート2019メイン事業『鳥取銀河鉄道祭』事務局として活動中。

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