触れて感じるインテリアの授業
「グリニッチ 米子」で場所づくりを考える

インテリアショップ「グリニッチ 米子」では、7月29日、国立米子工業高等専門学校建築学科3年生に向けたレクチャーが行われました。店内の家具に実際に触れながら行われたレクチャーの様子を、米子市を拠点に活動する建築家・木村智彦さんがレポートします。


「グリニッチ」は、鳥取県西部に位置する米子市四日市町と東京の代官山に店舗を構えるインテリアショップ。
北欧の 60ー70年代 に製造されたヴィンテージ家具や小物、デンマーク生活協同組合連合会(FDB)によるダイニングチェア「FDB Mobler」、スウェーデンの壁掛け式収納棚「string」、日本を代表するスタンダード家具「カリモク 60」そして、自社の工房で製造している「グリニッチオリジナル家具」などを取り扱っています。

今回のレクチャーを企画したグリニッチ販売担当の古川さん(左)

米子店で販売を担当する古川博章さんは、大学で建築を学び、アパレル関係に就職後、転職してグリニッチに入社しています。インテリアは自分が心地よいと感じる場所をつくるためのもの。古川さんは、もっと自分の心地よさを意識することで、建築を考えていく方法もあったのではないかと自らの学生時代振り返るようになり、建築を学ぶ若い学生に早い段階でインテリアの世界に触れて欲しいと考え、このような授業を企画したといいます。

ヴィンテージ家具の工夫されたデザインや長い歴史のある「FDB Mobler」などのメーカー、狭小住宅でもゆったりくつろげて、長く使えるようにデザインされた「luu sofa / グリニッチ オリジナル家具」などについて古川さんから説明を受け、実際に触れてみる学生たち。オリジナル家具は、都心部のスペースを有効活用できるように開発されたが、そのコンセプトやデザイン性が山陰でも支持されているそうです。
このクラスを引率した高増佳子准教授によると、製図の授業の中で、例えば幼稚園の設計が課題になる際などには、園児のスケール感でインテリアを想像しながら設計するよう指導をしているが、実際にインテリアショップに訪れて説明を受け、家具に触れて学べる特別授業は初めてとのこと。

左から商品開発担当の赤前さん、オリジナル家具製作担当の松本さん、ヴィンテージ家具リペア担当の小林さん。

ヴィンテージ家具のリペア(修復・修繕)を担当する小林知子さん、オリジナル家具製作を担当する松本雪野さん、商品開発担当の赤前健斗さんにも話を聞きました。
小林さんは、もともと家具とは関係のない会社に務めていたが、雑貨やチーク材の家具が大好きで「グリニッチ 米子」に通うなか、次第に自分でつくる側になりたいという気持ちになったといいます。家具の状態を見極め、いったんすべてを分解してから整え、丁寧に組み直していく作業は、「前の所有者と次の所有者をつなぐ仕事」と小林さん。力仕事でもあり苦労もあるが、ひとつひとつの家具が仕上がった際に、改めて存在感を確認することができ、苦労を掻き消してくれる瞬間があるといいます。
オリジナル家具製作を担当する松本さんは、住み込みのアルバイトや、シェアハウス住まいが長かったこともあり、自分の居場所を作ることに憧れてグリニッチに入社。家具を製作する際には、材の節の位置や、木の目を見て使う場所を決めている。そうした節や木目も含めて、経年変化を経て、愛着が増すような家具になるよう心掛けて製作をしていると笑顔で語ります。
商品開発を担当する赤前さんは北海道出身。地元で一度就職した後、大阪に。アートにも興味があり憧れはあったけれど、人に喜ばれるものを作りたいという思いで家具職人を志しました。家具のデザイン学校、岐阜高山の家具作りの技能を学ぶ学校を経て、フルオーダーの家具をつくる仕事に3年間就き、その後、自分で考えた家具も発信したいと考え、グリニッチに辿り着いたとのこと。オリジナル家具製作の旗揚げ時に入社。機械を揃えるところから始まり、職人もしながら、新しいスタッフを育てつつ、オリジナル家具のラインナップを増やしてきました。経験を積むほど難しくなることだけど、つくる側に偏った視点ではなく、使う人のフラットな視点でモノを考えることを大切にしているそうです。

「好きか嫌いかは大切。でも知らなければ、好きにもなれない。勉強することって大切で、興味が出たらどんどん掘り下げれば良いと思う」
赤前さんの話しの中で印象的な言葉でした。知識でも技能でも土台はやはり一番大切で、土台がしっかりしていないテクニックはいつかどこかでポッキリ折れてしまう。知識も技能も身につけた上で個性にも広がりが出てくるという話は、大人の自分にも響きました。

米子高専建築学科3年生は37名が参加。当日、2時間の特別授業の中では、学生からの質問もたくさん寄せられ、中には、既に建築に限らないデザインの分野に興味をもっている学生もいて、またお店に出向いて家具も見せて貰いたいし、インテリアも勉強したいとも話していました。将来、建築や設計を志す学生も、家具やインテリアに興味が深まった様子でした。

家具は道具、物質的なモノではあるけど、それを使う人はもちろん、つくる側の気持ちもポジティブにしていく力があるし、そうしたポジティブな場所をつくっていきたいという話も伺いました。
学生にお話してくれたグリニッチメンバーの話しぶりや表情からは、働くことが楽しそうで、それぞれにやりたいことがチャレンジ出来る職場なんだなと伝わってきます。自分が大学卒業してプラプラしてた頃、今のグリニッチが米子にあったら面接を受けていたと思います。


グリニッチ 米子
所在地|鳥取県米子市四日市町45番
営業時間|11.00-19.00
※土日祝のみの営業、平日は予約制(前日までに要予約)
TEL. 0859-34-7099 / FAX. 0859-34-7098
http://greeniche.co.jp

ライター
木村智彦

木村智彦

1978年米子市生まれ、米子市育ち、米子市在住。 大学卒業後地元に戻り、建築の実務を学び、2007年に「グラムデザイン一級建築士事務所」を 立ち上げて独立、建築の設計が生業です。 大山が綺麗に見える場所に家を建て、妻と3人の子供と共に楽しく賑やかに生活しております。