人と土地の記憶を映像で記録するプロジェクト
「私はおぼえている」2019 倉吉上映会
11月24日(日)14:00-17:30

鳥取に暮らす方々へのインタビューを行い、その方の半生とそれに結びつく土地の記憶を映像で記録・公開していくプロジェクト「私はおぼえている」。今年度新たに撮影・編集された新作4点を加えて、全8作品を倉吉にて上映します。


鳥取県中部で「記録」にまつわる活動を行う「現時点プロジェクト」。
現在、県内の方々にインタビュー形式で映像撮影を行い、その半生と地域の記憶を保存・公開するプロジェクト「私はおぼえている」に継続して取り組んでいます。

この度実施される上映会では、初公開の新作4点を含む、全8作品を連続上映するとのこと。鳥取県中部の80~90代の男女が、幼少期の思い出から当時の暮らしや仕事の様子、そ して戦時中の記憶などを、かつての中部地域の姿とともに語ります。

新作4作品は、全て女性の記憶。“大海女”と呼ばれ牡蠣やさざえ漁に勤しんだ長田はつ子さん、銭湯を家族で営んできた牧田智子さん、高度経済成長期の生活の変化を語った浜川千代子さん、戦時下の暮らしの理不尽さを伝える牧野順子さんの4名。
パブリックな歴史としてはほとんど記録されない、個人としての庶民の、そして女性という立場からみたかつてのまちや暮らしや家族の様子を、丁寧に紡ぎ映像に収めています。

いつかは消えてしまう個人の記憶、その姿、生きてきた証、ぜひご覧ください。

写真:河原朝子


「私はおぼえている」2019 倉吉上映会

日時
2019年11月24日(日)14:00-17:30
場所|倉吉交流プラザ視聴覚ホール (鳥取県倉吉市駄経寺町187-1)
料金|予約/1300円 当日/1500円 (18歳以下無料・途中入退場 再入場自由)

上映内容
インタビュー映像8点(各20分程度)

長田はつ子さんと海女の記憶 [新作]
青谷町夏泊の長田はつ子さんは、10代から80代まで海に潜り、大きな桶に牡蠣やさざえを一杯に獲り、仲間からは大海女と呼ばれていた。とても元気な語り口で、潜る時の衣装や貝の起こし方などを教えてくださる様子からは、今では誰も潜る人のいなくなった岩場に、かつての活気ある漁場の風景が見えてくるようだった。

牧田智子さんと両親の記憶 [新作]
倉吉市新町で夫婦で銭湯を営む牧田智子さんには、嫁ぐ前の赤碕での生活について話していただいた。助産婦で家を空けることの多かった母、その母に代わって家事をこなしていた戦争帰りの父。その父の得意料理や、空襲に遭った夏の思い出などが、お盆に墓地を訪れる人の姿と重なって、亡き人たちのことを想う時間になった。

浜川千代子さんと夫婦の記憶 [新作]
昭和9年生まれの浜川千代子さんには、高度成長期の生活の変化を話していただいた。特にご主人の話からは、生活が豊かになり経済的にも余裕が生まれると、それまでの苦労を発散しようとする人の心理が表れているように感じられた。苦労話を大笑いして話される姿からは、こちらが元気をもらい、一緒になって笑っていた。

牧野順子さんと銃後の記憶 [新作]
北栄町瀬戸で育ち、倉吉市大原に嫁いだ牧野順子さんには、戦時下の生活について話をうかがった。出征する父を見送った時のこと、シベリアに抑留された父が帰って来た時のこと、かぼちゃ畑に変わった女学校の校庭のことなど、とても丁寧に話していただいた。無茶苦茶な時代でした、と呟かれる小さな声が、とても重く響いた。

小椋久義さんと家族の記憶
関金にある山間の村、小泉。そこは6戸の世帯からなる小さな集落である。98歳の小椋久義さんには、自身の生い立ちを話していただいた。幼い頃に死別した母、姉の亡骸を大八車で運んだことなど、過酷な体験が語られた。そして大東亜戦争のこと。国有林を開墾したワサビ田と養魚場に至るまでの、濃密な一代記が語られた。

小谷重信さんと海辺の記憶
湯梨浜にある日本海に面した小さな漁村、小浜。かつては貝殻とりと呼ばれるホタテ漁を主な産業としていたが、今では漁を生業にする者はいない。99歳の小谷重信さんには、幼い頃に手伝った貝殻とりの記憶を話していただいた。そこから湾に迷い込んだ鮪の群れ、自身の出征のことから現在の愉しみまで話は続いていった。

濱根良太郎さんと砂地の記憶
北条砂丘で農園を営む濱根さんには、まだ灌漑(かんがい)が進む前の、砂地ならではの苦労を話していただき、貴重な昔の水やり道具を見せていただいた。戦時中に極秘任務で航空燃料を大量に隠した話や、案内していただいた跡地からは、今となっては想像が難しい、かつての砂丘地の風景を思い描くことができるお話だった。

藤原喜代江さんと生活の記憶
関金の奥滝と呼ばれる山奥の集落に、一軒だけある家に暮らしていた藤原喜代江さんには、兎の狩り方や干し柿を観音市に売りに行ったことなど、生活の細かなことを話していただいた。貧しかった幼少期のことや、嫁いだ当時の心細い気持ち、思い出される亡き母のことを、前向きに、時に笑顔で語られる姿がとても美しかった。

予約・お問い合わせ
080-3890-0371(野口) genjiten2017@gmail.com

主催|現時点プロジェクト
共催|鳥取県
後援|倉吉市
助成|アートによる地域活性化促進事業補助金、2019年度文化庁文化芸術創造拠点形成事業、エネルギア文化・スポーツ財団


現時点プロジェクト
2017年1月にスタートした、生活習慣や生活用品、伝統行事や人々の記憶、自然環境などを映像と写真で記録保存し、アーカイブ資料を一般公開することをメインの事業とするプロジェクト。日常の中にある小さな驚きや、忘れられていた大切なことを発見していくことを目的とする。2017年は、バス停に置かれた椅子を通して地域コミュニティーのあり方を考える展覧会『バス停や椅子』を倉吉市内で開催。また、当ウェブマガジン「totto(トット)」では波田野州平の映像レポート『映像みんぞく採集』を連載中で、日常の中にある発見を記録する行為を基点とした活動を行っている。
https://www.instagram.com/genjiten2017/

ライター
トット編集部

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当ウェブマガジン編集部。鳥取の今をアートやカルチャーの視点から切り取ってお届けします。不定期に集まり、運営方針や記事内容の検討などをする編集会議を開いています。随時メンバー募集中!