蛇谷りえの
鳥取☆おしゃれcollection – 2018 SS
#4 鳥取のミニマム

湯梨浜のゲストハウス・たみや鳥取駅前のY Pub&Hostelを運営するうかぶLLCの蛇谷りえ(大阪出身/トレードマークはピンクのめがね)が、県内で出会ったおしゃれガール&おしゃれボーイを突撃スナップ&インタビュー。ここで言う“おしゃれ”とは、流行とか最先端って意味じゃなく、その人の内面とか暮らしから自然と溢れちゃうもの。ここにしかいない人の、ここにしかないオシャレ最新型を探します!


あっという間に、1月。今年は雨や雪がちらほら降る日もあり、あたたかい日もあったり、着る服に迷います。今回は、わたしのお店のイベントに来ていたお客さんの中で一際目立った方がいたので声をかけさせてもらいました。「匿名希望で」ということで、顔の部分はカットしてます。

シャツはユニクロ、ズボンはSHOTで買ったどこかのメーカー、靴はコンバース。

名前:匿名
職業:自営業
場所:鳥取市今町

蛇谷(以下、J):「今日の服はどこで買っているんですか?」匿名:「ユニクロ、パンツもシャツも全部。あと、ズボンはSHOTで。」J:「SHOT?」匿名:「SHOT、知らないのかあ。アウトレットだよ。」J:「あ、道路でよく見かけるお酒屋みたいなビジュアルの!」匿名:「そうそう。このズボン、気にいってるからほんとはもっと欲しいけどな。同じの2本持ってる。」話を聞いてると、なんかこだわってないようで、こだわっていることがうかがえる。

ダンスもやってるそうで、体のラインが綺麗。

10年前までは、ドルガバ、BEAMS、STUSSY、裏原系…トレンドはだいたい着たという、匿名さん。外見からでは全然想像できなくてびっくり。あるとき、雑誌をみて、トレンドを追っかけるのにお金を使っていた頃、ファッションってそういうことじゃないなって思ったそうです。前までは、服代のために、財布を気にしながら食事をしていたけど、心配する必要がなくなったそう。「今日はイベントだからフォーマルな感じだけど、服はモノトーンが多いかな。メンズの服はカクカクしてるけど、レディースは柄物もあるし、素材が柔らかいから動きやすいし、着やすいからよく選ぶ。SHOTで。いない(鳥取のホームセンター)で売ってるおばあちゃんが履くようなもんぺあるじゃない?あれとかも昔は履いてたよ。」たしかに、古着屋といっても今はそこそこするから、作業着とかホームセンター、アウトレットの方が安いのかも。ていうか、「SHOT」は車でよく見かけていたけど、ノーチェックでした。

匿名さんが着る服は、よく体に馴染んでいるようで、動きやすそうに見えます。「試着をするの?」と尋ねると、「自分のサイズをわかってるから見ればわかる。」と言い、他にもいろんな話を聞いていくと、服に限らず、食べる物や日用品もあまり持ちすぎないようにしている匿名さんは、自分のサイズに見合った生活スタイルが衣服に現れているように思いました。会話ではよく「面倒くさい」というけれど、その分の時間を、仕事に集中しているような、ミニマムな暮らしぶりを垣間見ることができました。

ライター

蛇谷りえ

1984年大阪生まれ。2012年に「うかぶLLC」を設立し、共同代表の一人。うかぶLLCでは、鳥取県は湯梨浜町にある「たみ」と、鳥取市にある「Y Pub&Hostel」を経営している。また、鳥取大学地域学部教員の合同ゼミ「鳥取大学にんげん研究会」やアートプロジェクト「HOSPITALE」のマネジメントなど、ある世界の中で、サテライト的な関わりであれこれつなげるのが得意。”外”担当。 photo:Patrick Tsai