アートと暮らしが交差する地
アーティスト・イン・レジデンス事業
「八頭町アートケアリング」開催
昨年度から八頭町でスタートした、アートと地域の暮らしが交わるアーティスト・イン・レジデンス事業「八頭町アートケアリング」。第2回となる今回は、アーティストの松橋 萌さんと藤田クレアさんの2名が八頭町に滞在し、地域住民との生活や対話を通じて表現を深めていきます。
中山間地域で“広義のケア”を育む
本事業の最大の特徴は、町が受け皿となって、アーティストが地域住民の家などで生活を共にする「ホームステイ式レジデンス」であることです。外部のアーティストが八頭町の日常に身を置き、暮らし・風景・人との関係の中で生まれる表現や思考のプロセスそのものを、地域の文化として育てていくことを目指しています。
特に高齢化が進む中山間地域では、生活の中で交わされるささやかな会話や時間の共有は、地域にとって大切な“広義のケア”。本事業では、そうした日常の営みとアートが自然に結びつく、新しい関係づくりに挑んでいます。
今年度は、より広がりのある滞在へ
今回は、昨年度実施した特定の高齢者宅を中心とした滞在から一歩進み、複数の家庭を候補とした滞在スタイルへと広がります。年末年始という特別な時期に合わせ、多様な住民との出会いや、より深いコミュニケーションの機会が期待されています。
招聘アーティストのひとり、松橋萌さんは、自身が継続的に行っている「散歩会」を軸に、八頭町での活動に取り組みます。「よるべない人々が八頭町に集う」をコンセプトに、地域住民を含む幅広い参加者と歩き、語り、風景を共有することで、新たなコミュニティのかたち、そして人々に寄り添うための「ケアの演劇」を編み出すことを目指します。

また、藤田クレアさんは、自身の牧場プロジェクトの計画のために、鳥取市内にある空山牧場のリサーチを兼ねた滞在制作を予定しており、地域住民や自然、動物との交流を通じて、プロジェクトに必要な新たな知見や表現のヒントを探ります。

2名のアーティストが、それぞれの現在進行形のプロジェクトと八頭町の生活環境を重ね合わせることで、昨年度とは異なる広がりをもつ滞在プログラムとなり、地域に新しい文化の芽を育てる機会になることを期待しています。

トップ画像:松橋萌《第一回ケアセンター「散歩をして、カレーをつくる」》2025年
松橋萌 / MATSUHASHI Moe
2025年に東京藝術大学院映像研究科メディア映像専攻修士課程修了。「アートとケアの結び目を散歩で作る」をテーマに散歩会・キャンプ・ケアセンターを開催。地域住民と共同でのリサーチを通して、散歩会を開いている。人々の日常や声に寄り添うための対話の場である「ケアの演劇」を編み出すことを目指している。活動のアーカイブをZINEとして発行する他、これを疎外や大きな権力に対する柔らかな抵抗のネットワークとして築いていくことを目指す。
藤田クレア / FUJITA Claire
動力的な装置と有機物を組み合わせ、地震が生きる社会構造の中で、あるいは私的な人間関係の中で直面する問題や葛藤に根差した作品を制作する。主な個展に「ふとうめい な 繋がり([資生堂ギャラリー]、2020)」グループ店に「SOUND&ART展([アーツ千代田3331]、2021)」がある。
八頭町アートケアリング(八頭町アーティスト・イン・レジデンス事業)
滞在スケジュール|
松橋萌 2025年12月21日(日)– 2026年1月3日(土)
藤田クレア 2025年12月28日(日)– 30日(火)、2026年1月5日(月)– 13日(火)、2月8日(日)– 9日(月)
滞在場所|鳥取県八頭郡八頭町新興寺、鳥取市内ほか
報告展示期間|2026年2月12日(木)– 3月8日(日)
会場|八頭町芸術文化交流プラザ あーとふる八頭
時間|10:00 – 16:00
休館日|月ー水(祝日を除く)
料金|観覧無料
主催|⼋頭町教育委員会
企画|労働者協同組合Barrier House Project YAZU
お問合せ先|
労働者協同組合法⼈ Barrier House Project YAZU
第⼀事業所 〒680-0521⿃取県⼋頭郡⼋頭町安井宿1174
Email|osaki@barrier-house.com