
新書籍『「見る場所」のメディア考古学』
鳥取の映画文化を未来に伝えるプロジェクトを始動
鳥取の映画文化をリサーチしてきた「見る場所を見る」の5年間の活動成果を、一冊にまとめるプロジェクトが始まりました。アーティスト・研究者・出版社・書店などが協力し、2025年7月より書籍を刊行するためのクラウドファンディングをスタート。鳥取の豊かな映画文化を未来につなぐ新たな試みです。
新書籍『「見る場所」のメディア考古学』の「見る場所」とは、鳥取で親しまれてきた映画館やレンタルビデオ店、自主上映といった映画を見る場所のこと。2021年から映像作家・メディア研究者の佐々木友輔さん、イラストレーターのClaraさん、映画を研究する杵島和泉さんは、新聞記事や記録写真の調査、かつての鳥取の映画文化を知る方へのインタビューを元に、イラストレーションやドキュメンタリーを制作することで「見る場所」の記憶を復元し、人と映画の関わりを見つめ直しています。
一連の活動は「見る場所を見る」と名付けられ、これまでに3回の展覧会を開催。リサーチの成果を広く公開し、鳥取の映画文化の記憶を、現代に暮らす人々の中に蘇らせてきました。映画館の少ない鳥取にも、しっかりと映画文化が根づいていることに気づかせてくれ、私たちが地域の文化の豊かさを感じるきっかけの場となっています。
この「見る場所を見る」の取り組みに、地域の出版・書店文化の担い手である小取舎の村瀬謙介さんとSHEEPSHHEP BOOKSの高木善祥さんも賛同。2025年7月4日よりクラウドファンディングを開始し、「見る場所を見る」が行った5年間のリサーチの集大成となる書籍『「見る場所」のメディア考古学』の刊行を目指しています。
『「見る場所」のメディア考古学』のサブタイトルは、「鳥取から日本映画史を描き重ねる」。鳥取県全域の映画史を網羅し、Claraさんが描く約60点のイラストを収めた一冊は、研究・イラスト・映像制作の3つが掛け合わされた「見る場所を見る」の類を見ない試みを可視化するものです。
鳥取の映画文化を作り上げてきた方々の功績を讃え、次世代へと受け継ぐために、アーティスト・研究者・出版社・書店が力を合わせて展開する今回のメディアミックス・プロジェクト。どのような書籍が出来上がり、鳥取の映画文化史が現代にどう波及していくのか、地方発の新たな文化発信の行方に目が離せません。
鳥取の「見る場所」をイラストで紐解く!
新刊『「見る場所」のメディア考古学』刊行に向けてのクラウドファンディング
https://camp-fire.jp/projects/854462
企画|小取舎
https://note.com/kotorisya
https://www.instagram.com/kotorisya/
佐々木友輔 / Usuke Sasaki
1985年兵庫県生まれ。映像作家、企画者。鳥取大学地域学部准教授。主な長編映画に2010年『新景カサネガフチ』、2013年『土瀝青 asphalt』、2016年『TRAILer』、2019年『コールヒストリー』、グループ展に2015年「第7回恵比寿映像祭」、2016年「記述の技術 Art of Description」(ARTZONE)、著作に2015年「三脚とは何だったのか──映画・映像入門書の20世紀」(『ビジュアル・コミュニケーション──動画時代の文化批評』所収、南雲堂)、2018年「房総ユートピアの諸相──〈半島〉と〈郊外〉のあいだで」(『半島論──文学とアートによる叛乱の地勢学』所収、響文社)、2020年ドキュメンタリー映画『映画愛の現在』三部作などがある。
https://note.com/sasakiyusuke