~弱さとやさしさを探す旅~
八頭町アートケアリング
八頭町アーティスト・イン・レジデンス
報告展示
2026年2月12日(木)ー 3月8日(日)

2025年12月から2026年2月にかけて、アーティストの藤田クレアさんと松橋萌さんが、それぞれ2週間にわたって八頭町に滞在し、アートとケアについて考え制作に挑みました。その成果を発表する報告展示が、あーとふる八頭で開かれています。


「弱さがあっていいと知りたかった。そのままの存在でいいんだよと伝えたい」と語るのは藤田クレアさんです。地域の輪に溶け込み、1月の滞在時には鳥取市にある空山ポニー牧場で5人の子どもたちと、続いて八頭町内で4人の大人と、「弱いロボット」をテーマに出前授業やワークショップを行いました。参加者が描いたロボットから着想した立体作品を、2月に再び八頭町を訪れ完成させました。

「元気が見つけられないロボット」「反論できないロボット」「43 トルネコのみせ~パッポー~」「いすロボット」など、弱さと切なさ、そしてユーモアと希望が同居するロボットが並びます。

藤田クレア「ガラスのハート」

「月ロボット+星ロボット」には、牧場で子どもが発したこんな言葉が添えられています。

“夜はともだちがいないから怖くて 
人間が星のロボットも作って 
さびしくなくなる”

木箱の中を回る馬の瞳に映る小さな光、ドームに守られた三日月の明るさ、耳をすますと聞こえてくる微かな朗読…。自然と人工物とが結びつき、八頭の空や光、川、土、生きものをも想起させる9つの「弱いロボット」を前にすると、大人も子どももきっと笑顔になるはずです。

左上:藤田クレア「ずっと空で困っている猫虹型ロボット」中央:松橋萌「やさしさはサバイブ」(ZINE)右:松橋萌「散歩のかけら」

年末から年始にかけて八頭町で過ごした松橋萌さんは、ある方が口にした「やさしくなければ、ここでは生き抜くことができない」といった言葉が印象に残ったそうです。以前から散歩会を共にするメンバー数名と、地域の人々の生活へと果敢に飛び込みました。その模様は、手記と写真によるZINE「やさしさはサバイブ」と、映像「散歩のかけら」としてまとめられています。

若桜鉄道の沿線を散歩し、果樹の剪定作業や集落の集まりに加わり、ジビエを食べ、餅つきや雪かきをして、年明けにお雑煮パーティーを開く。自分たちの居場所を自らの手で作り出そうとサバイブする、アーティストと仲間たちの姿が克明に描き出されています。あたたかな関係性をはぐくんだ地域の人たちの横顔や、まちの文化を新たな視点で見つめ直すこともできるでしょう。

あーとふる八頭は、かつて小学校だった建物です。教室一つ分の展示は、八頭の暮らしや風土を内包するスケールを秘め、地域に滞在し制作することの意義を感じさせる報告となっています。

鑑賞する人の内にある弱さやとやさしさが、鮮かに浮かびあがってくるかもしれません。ぜひ足をお運びください。


藤田クレア / FUJITA Claire
動力的な装置と有機物を組み合わせ、自身が生きる社会構造の中で、あるいは私的な人間関係の中で直面する問題や葛藤に根差した作品を制作する。主な個展に「ふとうめい な 繋がり([資生堂ギャラリー]、2020)」、グループ展に「SOUND&ART展([アーツ千代田3331]、2021)」、「TERRADA ART AWARD 2025」([倉田倉庫、2026」)がある。

松橋萌 / MATSUHASHI Moe
2025年に東京藝術大学大学院映像研究科メディア映像専攻修士課程修了。「アートとケアの結び目を散歩で作る」をテーマに散歩会・キャンプ・ケアセンターを開催。地域住民と共同でのリサーチを通して、散歩会を開いている。人々の日常や声に寄り添うための対話の場である「ケアの演劇」を編み出すことを目指している。活動のアーカイブをZINEとして発行する他、これを疎外や大きな権力に対する柔らかな抵抗のネットワークとして築いていくことを目指す。


八頭町アートケアリング
八頭町アーティスト・イン・レジデンス
報告展示

期間|2026年2月12日(木)– 3月8日(日)
会場|八頭町芸術文化交流プラザ あーとふる八頭
時間|10:00 – 16:00
休館日|月ー水(祝日を除く)
料金|観覧無料

主催|⼋頭町教育委員会
企画|労働者協同組合Barrier House Project YAZU
お問合せ先|労働者協同組合法⼈ Barrier House Project YAZU
      第⼀事業所 〒680-0521⿃取県⼋頭郡⼋頭町安井宿1174
Email|osaki@barrier-house.com

ライター

トット編集部

当ウェブマガジン編集部。鳥取の今をアートやカルチャーの視点から切り取ってお届けします。不定期に集まり、運営方針や記事内容の検討などをする編集会議を開いています。随時メンバー募集中!