ゆっくり言葉を探す鑑賞プログラム
3回 “観る” 
ひとりで、みんなで、またひとりで
公開!

対話のプラットフォーム「トットローグ」から派生し、アーティストのサトウアヤコさんが新たな鑑賞プログラム「3回”観る”」を開発しました。「観る」「書く」「話をする」という段階を経て、感じたことや気がついたことを時間をかけて言葉にしていく内容。トットローグの流れを踏まえ、クリエイティブ・コモンズのライセンス下で、誰でも自由に利用できる形でトットにて公開します。


3回 “観る” とは
作品を観て、メモする、カードに書く、話をするという段階を経て、感じたことや気がついたことを時間をかけて言葉にしていく鑑賞プログラムです。主に展覧会を観て話すことを想定しています。ファシリテーターがいなくても話ができる仕組みになっています。
クリエイティブ・コモンズのライセンス下で、友人同士のカジュアルな場でも、企画や教育プログラムにもアレンジして自由に使っていただけます。

開発経緯
2021年度、webメディアトット(鳥取藝住実行委員会)主催の、対話のプラットフォーム「トットローグ」を作る事業を実施しました。立ち上げメンバーであるnashinoki(トットライター)、水田美世(トット編集長)、と共に参画したサトウアヤコが、自身で開発した「カード・ダイアローグ」を用い、鳥取県立博物館の展覧会の鑑賞後の対話プログラムを考案したことがきっかけです。



このプログラムで起きる(かもしれない)こと
・作品との対話
自分自身の知覚したことやその変化について、段階を踏んで言語化する。
体験を経験に変える
観る、想起する、言語化するをくりかえすことで、鑑賞体験を自分自身の経験に変える。
・わからなさや問いを抱える
わからないことを口に出す機会を作り、わからなさや問いを抱え続けることを肯定する。

プログラムの特徴
・2人から4-5人までを想定。友人同士でも、企画や教育プログラムにも使うことができる。
・参加者の知識に差があっても話をすることができる。
・作品についても、作家についても、展覧会それ自体についても話をすることができる。他にも、アレンジ次第で映画などの鑑賞後の会にも使うことができる。
・「カード・ダイアローグ」の方法を使用し、自分の話すことをカードに書いてから1人ずつ話すため、話しなれていない人も比較的話ができ、ファシリテーターはいなくてもよい。

■想定する使い方
・友人同士で展覧会の話をする会を開催する
・展覧会の話をする会をプログラムとして企画する。目的に合わせてアレンジする
・対話型鑑賞と組み合わせて、鑑賞後に参加者同士で話をする時間をつくる
・教育プログラムへの導入

■プログラム
3回”観る”プログラム(PDF)
・3回”観る”カード(PDF)A4で4枚印刷できます。参加者1人あたり5枚程度が目安です。
・3回”観る”シート(PDF)A4で印刷できます。大きな文字で書くことができます。
・SNS用画像と使い方 背景色を変更したり、日時や場所を入力したイベント画像を作成できます。
ファイル一式

ライセンス・クレジットについて
この 作品 は クリエイティブ・コモンズ 表示 – 非営利 4.0 国際 ライセンスの下に提供されています。非営利企画に限り、クレジットを表記の上、自由に使用できます。営利企画へのご使用はお問い合わせください。 また、企画に使用する際は以下のクレジットを、企画書、告知文などに必ず掲載してください。

クリエイティブ・コモンズ・ライセンス

クレジット
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タイトル: 3回”観る”
作者: サトウアヤコ
発行: 鳥取藝住実行委員会(トット編集部)
URL: https://totto-ri.net/news_3kaimiru
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企画の実施後には、当日の様子やプログラムのアレンジについてのレポートをwebやSNS(ハッシュタグ #3回観る)に簡単にでも掲載いただけるとありがたく思います。このページからリンクさせていただきます。

■実践例
[自主開催] 大阪 国立国際美術館「感覚の領域 今、「経験する」ということ」 2022年4月 3名
[自主開催] 大阪 国立国際美術館「感覚の領域 今、「経験する」ということ」 2022年5月 4名
[自主開催] 長野 長野県立美術館「マン・レイと女性たち」 2022年6月 2名

よくあるご質問
・対話型鑑賞との違いは何ですか。
→ファシリテーターがいなくてもよいこと、作品の情報や知識を話したり、必要なら図録や資料を参照すること、作品だけではなく展覧会全体の話をすることができる、という点が異なります。
・ プログラムを自由に使ったり、内容を変更したりしてよいのですか?
→非営利、クレジットを表示するなどの条件を満たせば自由に使うことも、プログラムを変更することもかまいません。
 その他の使い方を希望される場合は、お問い合わせください。
・「3回”観る”」というタイトルを変えてもよいのですか?
→クレジットを表示するなどの条件を満たせば、変更してもかまいません。
・会の企画にしか使えないですか?
→2人で話をするのにも使えます。友人と使ってみてください。
・話をする自信が無いのですが。
→単語でも浮かんだことを書き留める。なぜそれが浮かんだか話す、というところから始めてみてください。他の人の話を聞くうちに、自分の言いたいことも少しはっきりするかもしれません。

開発元 / お問い合わせ先
サトウアヤコ 
大阪生まれ。建築・情報工学を学び、対話やリサーチを主としたコンセプトデザインなどを行う。2010 年から「mogu book」、「カード・ダイアローグ」、「本棚旅行」、「日常記憶地図」、「マイクロ・ストーリーズ」など複数のプロジェクトを継続しながら、言語化や媒介的なコミュニケーションと、「ひとりで、共に」在る場について探求している。主な展示に東京都現代美術館 MOTサテライト2019「ひろがる地図」(2019)、長野県立美術館「美術館のある街・記憶・風景「日常記憶地図」で見る50年」(2021)。2019年にトット主催の連続講座「「日常記憶地図 子どもの頃の場所と風景を思い出す」。
https://my-lifemap.net/
https://dialogue.mogubook.net/

鳥取藝住実行委員会
アーティスト・イン・レジデンス等のアートプロジェクトを行う団体や県内で芸術活動等を行う人々のネットワークづくりを目的に2016年に誕生しました。2017年からは「+〇++〇(トット)」というウェブメディアの運営をスタート。普段見落としがちな日常の中にある創造性をさまざまな切り口で見せることで、鳥取の表現と暮らしを深く堀りさげる市民メディアとして運営しています。

※プログラム内容に関わるご質問は、サトウ(
mogubook@gmail.com)にお問い合わせください。
その他のお問い合わせは、サトウもしくは鳥取藝住実行委員会・水田(info@totto-ri.net)にご連絡ください。(基本的に共有させていただきます)

参考文献
森功次「美術作品の教材化の功罪」、美術手帖2021年10月号「アートの価値の解剖学」、美術出版社(2021)
フィリップ・ヤノウィン、『どこからそう思う?学力をのばす美術鑑賞: ヴィジュアル・シンキング・ストラテジーズ』京都造形芸術大学アートコミュニケーション研究センター訳、淡交社(2015)
ケンダル・ウォルトン「芸術のカテゴリー」森功次訳、電子出版物(2015) https://note.com/morinorihide/n/ned715fd23434
上田行一『私の中の自由な美術―鑑賞教育で育む力』光村図書出版(2011)
シンシア・フリーランド『でも、これがアートなの?: 芸術理論入門』ブリュッケ(2007)

謝辞
鳥取県立博物館の学芸員のみなさま、会に参加してくださったみなさまに感謝します。
蔵多優美さん(トットライター)には、対話型鑑賞についての情報提供や会の実験にご協力いただき感謝します。

 


ゆっくり言葉を探す鑑賞プログラム
3回 “観る” 
ひとりで、みんなで、またひとりで

作者|サトウアヤコ
編集|水田美世
デザイン|小谷真之介(KOTANI DESIGN OFFICE
発行|鳥取藝住実行委員会(トット編集部)

 

ライター

トット編集部

当ウェブマガジン編集部。鳥取の今をアートやカルチャーの視点から切り取ってお届けします。不定期に集まり、運営方針や記事内容の検討などをする編集会議を開いています。随時メンバー募集中!