舞踊公演「あげだがん 上げてどうする そげだがん」

ダンス集団コンドルズを主宰する近藤良平さん演出・振付で2018年3月3日、4日に実施された標記公演。ダンスの経験を問わず一般から公募した方々と共に、鳥取県の方言やオノマトペの発声を取り入れながら創作されました。出演者の立場からの報告です。


毎度ご乗車ありがとうございます。サービスタクシーの松浦です。今回はレポートの枠で失礼します。
以前トットのニュース「鳥取市内でコンテンポラリー・ダンス公演が目白押し」で木野彩子さんが書いていらしたように、2月末から3月はじめにかけて、鳥取市内で様々なコンテンポラリーダンスの公演が催されました。実はそのなかのひとつ、3月3日と4日におこなわれた近藤良平さん演出・振付の舞踊公演「あげだがん 上げてどうする そげだがん」(鳥取県文化振興財団プロデュース創作公演 第3弾)に出演していたのです。

公演の様子

『あげだがん 上げてどうする そげだがん』は、オノマトペ(擬音)や鳥取の方言をモチーフに、形式にとらわれることなく創られた作品。日常の中にある動きや無意識のうちに湧きあがる動きを表出させたり、またそれぞれが異なるオノマトペを表現するなど、楽しくも不思議な魅力と出演者の自由な発想が生きた、味わいのある内容になりました。

ところで皆さま、コンテンポラリー・ダンスを踊った経験はありますか?僕はというと、高校卒業後に上京した学生時代に初めてウィリアム・フォーサイス(1)のソロ動画を授業で見て衝撃を受けて以降、興味はあったものの、リズム感もなければ人前で何かを表現するのも自信がなくて、自分自身が踊るということは想像すらしていませんでした。今回の企画に出会ったのは2017年の秋、ダンサーの荻野ちよさんが手掛けるワークショップに参加したことがきっかけでした。2017年の僕は何かが違っていたみたいで。ワークショップの後に今回の主催者から誘われたのですが、ノリがよかったのか、それとも初めてのことに積極的だったのか、ほぼ躊躇いなくダンスを始めてみることにしたわけです(なんとこの年は!ゼロからのバレエにも挑戦しています)。

公演の様子

初めて稽古に参加した時には地元で有名な舞踊家、演劇やダンスの経験豊かな猛者、見るからに学習能力が高そうなヒトがたくさんいて….「あちゃ、こりゃ来るとこ間違えたカナ?」と虎の穴に迷い込んだ羊のごとくびびっていました。公演まで稽古は10回ほど、未経験の僕にとって当初は不安と緊張の連続….ところが、主催者をはじめ集まったトリドルズ(今回のチーム)のメンバーと一緒に稽古を重ねてゆくうちに、身体をつかって表現することの楽しさや、仲間たちと呼吸を合わせて動く快感に目覚め、果たしてすっかりその魅力に憑りつかれてしまっていました。

当日迎えた公演は言わずもがな盛況に終えることができたのですが、未知の世界に挑戦してみること、地元の言葉を身体で再構築すること、ひととの新しいつながりが生まれたことなど、今回の企画を通じて発見したことは様々あり、次のステップに向けて新たな扉が開けた気がしています。なにより、鳥取のことを今まで以上に好きになれたというのが今回の収穫でした。

公演の様子

新しいことに取り組んでみるって、とても素晴らしいことですよね。それがしやすいのも、鳥取の魅力かもしれません。皆さまにとって未体験のこと、やってみたいことはなんですか?

本日はご乗車ありがとうございました。

写真提供:公益財団法人鳥取県文化振興財団

1.1949年生まれ。アメリカ出身のバレエダンサー、振付家。モダン・バレエを解体し再構築することで、現在のコンテンポラリー・ダンスの歴史をつくった1人と評される。


鳥取県文化振興財団プロデュース創作公演 第3弾 舞踊公演
「あげだがん 上げてどうする そげだがん」
http://cms.sanin.jp/p/zaidan/5/1/1/3/
日程:2018年3月3日、4日(既に終了)
会場:とりぎん文化会館
主催/制作:公益財団法人鳥取県文化振興財団(http://site.torikenmin.jp/

ライター

松浦秀一郎

鳥取市出身。約2年前に東京からUターンし、実家のタクシー会社に就職。地域に貢献する公共交通であるという強みをいかして、鳥取をよりおもしろくするキッカケとなるべく、日々活動している。“何もない = 何かがある”地元の暮らしを楽しむため、プライベートでもまちの動きにアンテナを張り、地元の隠れた魅力を見つけることが喜び。