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2017.8.9

野田邦弘
鳥取藝住 —クリエイティブな生き方を求めて
#3 鳥取クリエイティブストリート構想

2014年から2年間、鳥取県全域で行われた広域アートプロジェクト「鳥取藝住祭」。暮らしとアートが一体となった“藝住”という概念は、プロジェクトが一旦終了した今も、地域と人々の中に静かに息づいているように見えます。一方、県全体を見ると県外からの移住は増加。とりわけ若い世代の移住者が多く、地域の中でそれまでにはなかった新しい取り組みをスタートさせています。
はたして今、鳥取では何が起きているのか。鳥大の特命教授で鳥取藝住祭の実行委員長もつとめた野田邦弘が、“藝住”という観点から紐解いていきます。


鳥取市のまちなかは、市庁舎の移転や県立美術館整備にともなう県立博物館からの美術部門撤退などでこれまで以上ににぎわいが失われることが懸念されています。まちなかを活性化するには、若者が活躍できる場をいくつも生み出すことが重要です。

鳥取市のまちなかで6月に行われた〈鳥取夏至祭2017〉より。踊りと音楽のパフォーマーたちが、商店街の祭り客に温かく迎えられた。写真:松浦秀一郎

例えば中心市街地の空き店舗、空き家などを毎年数軒ずつリノベーションし、アーティストやデザイナーなど創造的人材・企業の創造空間(アトリエ、ギャラリー、ラボ等)に転換し、国内外の創造的人材・企業の誘致を行ってはどうでしょう。まちなかに創造的スペースが複数生まれ、これらが連担・連携し創造的な界隈となり、地域価値向上と知名度アップにもつながります。鳥取駅前から県庁まで続く国道53号線を「鳥取クリエイティブストリート」として、まちづくりの柱にすることを提案します。

同じく〈鳥取夏至祭2017〉より。商店街の空き店舗が即興パフォーマンスの舞台として活用された。写真:トット編集部

リチャード・フロリダは、21世紀は創造産業の時代であり、従来の企業誘致ではなく創造的人材誘致(移住)に成功した都市が生き残ると主張し世界に影響を与えました。実際に、アメリカのサンタフェ市(人口7万人)は200のギャラリーと8つの博物館・美術館を有し、美術品の取扱高が全米で第3位であるなど芸術と観光が市の基幹産業となっています。

〈鳥取藝住祭2015/川と路2015〉より。鳥取市を流れる袋川を起点に、暮らしの新たな楽しみを提案した。写真:mi-ri meter

別府市では、衰退するまちなかをアートで再生する取り組みが定着し、このような取り組みは、国東半島、竹田市、大分市など県内各地に伝播し、大分県全体がクリエイティブな地域に変貌しはじめています。豊岡市はクリエイティブ人材に焦点を絞った移住政策を始めました。このように単なる移住促進ではなくクリエイティブ人材に焦点をあわせた移住促進策を自治体が採用する時代が到来しました。

同じく〈鳥取藝住祭2015/川と路2015〉より。廃業したガソリンスタンドに期間限定のカフェをオープン。写真:mi-ri meter

鳥取県でも、湯梨浜町のゲストハウス「たみ」周辺はクリエイティブ人材が集まる場所となっており、この数年でたみ周辺に20人以上のクリエイティブな若者が移り住みました。鳥取県へは現在若者が数多く移住していますが、この流れを定着させ、さらに発展させるためにもクリエイティブな中心市街地を形作ることを真剣に検討したいものです。


参考『新 クリエイティブ資本論-才能が経済と都市の主役となる』
著者:リチャード・フロリダ
出版社:ダイヤモンド社
発行年月:2014/12
ISBN : 9784478024805

ライター
野田邦弘

野田邦弘

2004年までは横浜市職員として創造都市政策の策定や横浜トリエンナーレを担当。文化経済学会理事(元理事長)、鳥取県文化芸術振興審議会長、鳥取藝住実行委員長、大分市アートを活かしたまちづくり推進会議アドバイザーなど。鳥取でアートプロジェクト「ホスピテイル」に取り組む。主な著書は、『文化政策の展開』(学芸出版社、2014年)、『創造農村』(共著、学芸出版社、2014年)など。

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