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2017.4.10

野田邦弘
鳥取藝住 —クリエイティブな生き方を求めて
#1 若者の移住者が増加している

2014年から2年間、鳥取県全域で行われた広域アートプロジェクト「鳥取藝住祭」。暮らしとアートが一体となった“藝住”という概念は、プロジェクトが一旦終了した今も、地域と人々の中に静かに息づいているように見えます。一方、県全体を見ると県外からの移住は増加。とりわけ若い世代の移住者が多く、地域の中でそれまでにはなかった新しい取り組みをスタートさせています。
はたして今、鳥取では何が起きているのか。鳥大の特命教授で鳥取藝住祭の実行委員長もつとめた野田邦弘が、“藝住”という観点から紐解いていきます。


「鳥取藝住 —クリエイティブな生き方を求めて」という連載を始めます。この連載は、いま鳥取県で起きている若者の鳥取への移住現象が、全国的な田園回帰現象の一環である事を明らかにします。また、そこに見られる、これまでとは異なる新しい価値観や生活スタイルを紹介し、その意味や可能性について創造性の発揮という視点から考えていきたいと思います。そしてこのような動向の背景にある産業構造の変化にもとづく社会の構造変化を「創造都市・創造農村」というキーワードで読み解いていきます。

昭和3年に鳥取県大山町上市に建てられた馬淵邸。2012年、若手起業家グループ「築き会」メンバーを中心に改修に乗り出した。

いま、世界各地で、芸術文化など人びとの創造性を活かした取組が盛んになっており、このような動きは創造都市(Creative City)と呼ばれています。ポスト知識社会は、文化や価値を創造する創造経済・創造産業が主力となります。そこでは人びとの「創造力」が経済や社会でもっとも重要な資源となります。言い換えると人的資本(人材)が最も重要な要素となるのです。そのため創造的活動を行う人が多く暮らす地域、彼らに好まれる地域が発展をし、そうでない地域は廃れます。

加えて、地方への移住志向がいま強まっています。2014年の内閣府調査によれば、農山漁村への移住を希望する都市住民は、20.6%(2005年)から31.6%(2014年)へと増加しています。

また、かつて移住は、定年退職した人が故郷へ帰るというイメージで捉えられていました。実際に10年ほど前は、移住者の中心は50歳代、60歳代でしたが、近年は20歳代、30歳代、40歳代の若い世代が主力となっています。特に東日本大震災と福島第一原発事故後はこの傾向が顕著です。

2013年10月には地域と人を繋ぐコミュニティスペースとして「まぶや」をオープン。移住者や若者が集う拠点となっている。

鳥取県は岡山県に次いで2位の移住者数(1,246人)となっています(毎日新聞20151220日)。このように鳥取県への移住が増加している現象について、特に若者の移住現象について次回以降考えていきます。

ライター
野田邦弘

野田邦弘

2004年までは横浜市職員として創造都市政策の策定や横浜トリエンナーレを担当。文化経済学会理事(元理事長)、鳥取県文化芸術振興審議会長、鳥取藝住実行委員長、大分市アートを活かしたまちづくり推進会議アドバイザーなど。鳥取でアートプロジェクト「ホスピテイル」に取り組む。主な著書は、『文化政策の展開』(学芸出版社、2014年)、『創造農村』(共著、学芸出版社、2014年)など。

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